日常的なネットサーフィンが認知症の予防になる?最適な頻度とやり方も解説

 

 

認知症は高齢者が発症しやすい非常に身近な病気です。認知症を予防するためには、様々な対策をとることが必要だといわれています。

 

その中、最近の研究で発表された認知症予防法の一つが、「ネットサーフィン」です。

 

ネットサーフィンとは、インターネット上のさまざまなウェブサイトを自由に閲覧することを意味します。

 

この記事では、最近の研究結果から基づいた、ネットサーフィンと認知症の関係や認知症の予防になるネットサーフィンの頻度などを解説します。

 

 

研究の内容と結果

まず、認知症予防とネットサーフィンの関係性に関する最近の研究を紹介します。

 

この2023年に発表された集団研究では、認知症を発症していない18,154人の成人を平均7.9年間(最長17.1年間)にわたって追跡し、その認知能力を評価しました。

 

対象者は、研究開始時点で50歳から64.9歳でした。

 

研究では、定期的にインターネットを利用する人々は、定期的に利用しない人々と比較して、認知症を発症するリスクが43%減少したとの結果が示されました。

 

また、認知症予防になるインターネットの利用の効果は、インターネット上の活動時間と関係していることもわかりました。

 

参照:Internet usage and the prospective risk of dementia: A population-based cohort study, 

Gawon Cho BA, BBA, Rebecca A. Betensky PhD, Virginia W. Chang MD, PhD

 

最適なネットサーフィンの頻度と時間は?

認知症予防に効果的なネットサーフィンの頻度と時間も研究で結論付けられています。

 

今回の研究では、0.1時間から2時間の日常的なネットサーフィンが認知症の予防に最適だと言われています。

 

一方、インターネットを使用しない人と2時間以上のネットサーフィンを日常的にする人は、認知症の発症リスクが高いままでした。

 

過度なネットサーフィンは老化に対するネガティブな情報を閲覧する機会が増えるため、自己価値の低下を引き起こし、健康な生活に悪影響を及ぼす可能性があるようです。

 

このように、ネットサーフィンの頻度と時間は、適度なものが求められます。

 

ネットサーフィンが認知症予防になる理由

ネットサーフィンは3つの理由で認知症の予防になると言われています。

1.新しい知識の習得

インターネットで新しい情報や知識を自由に探し出すことができます。

新しい情報を読み理解することは、脳を活発にし、認知機能を向上させるといわれています。

 

2.問題解決スキルの向上

ネットサーフィンでは、問題解決や批判的思考を行います。

 

例えば、情報の信憑性を判断したり、情報源を探したりすることなどです。

 

これらの行為は脳の認知機能を鍛えるのに役立ちます。

 

3.社会交流

インターネットは人々と繋がり、コミュニケーションを取る手段の一つです。

 

SNSメールオンラインゲームなどを通じて他人との交流が可能です。

 

他者とつながっている感覚は認知機能を刺激し、認知症のリスクを低減するとされています。

 

上記のように、ネットサーフィンは上記の理由などから脳を活性化できるため、認知症予防に効果的だとされています。

 

ネットサーフィンを過度に利用し続けるとどうなる?

認知症に加え、過度なネットサーフィンは身体的、そして精神的な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

インターネットの過度な利用は、長時間の画面の前で座ったままで、運動不足になりやすくなります。

 

そして、肥満心臓病糖尿病などの慢性的な健康問題を引き起こす可能性があります。

 

さらに、長時間の画面操作は視力低下や頭痛を引き起こす可能性もあります。

 

身体的な影響以外にも、精神的な健康に対する影響もあるとされています。

 

過度のネットサーフィンは、睡眠や食事の習慣を不規則にし、不安やうつ病を引き起こす可能性があると言われています。

 

また、人間関係の構築することや、対面で人と接する能力が低下し、社会的な孤立をもたらす可能性もあると指摘されています。

 

さらに、インターネット依存症という新たな心の健康問題も注目されています。

 

インターネット依存症は、インターネットやデジタル機器への過度な依存によって引き起こされ、仕事、学校、または人間関係の問題や、不安、ストレス、抑うつ症状を増加させる可能性があるとされています。

 

以上の観点から、ネットサーフィンは適度な範囲内に留めることが、全体的な健康の維持に重要です。

 

特に認知症の患者の場合、認知機能が低下しているため、身近な人々や介護者が患者のインターネット使用を適度に管理することが求められます。

 

ネットサーフィンのやり方3選

以下に、認知症予防になるネットサーフィンのやり方を3つ提案します。

1.思ったことを検索してみる

頭の中で考えていることや疑問などをインターネットで検索してみてください。

 

趣味や悩み事、食事の献立など、インターネット上には生活に役立つ情報がたくさん掲載されています。

 

その情報の中で、信憑性のあるものを探したり、興味があるものを閲覧して、自由にネットサーフィンしてみましょう。

 

2.教育コンテンツを見る

ネットサーフィンは新たな知識の習得にも役立ちます。

 

例えば、ニュース記事科学的な記事を読む、Youtubeで自分が気になる動画を見る、自分の趣味に関するオンライン講座に参加するなどがあります。

 

3.SNSを使う

SNSは人との繋がりを保ち、友達の輪を広げる手段として利用できます。

 

具体的には、友人や知人などの状況把握やコミュニケーションをとることができ、人との繋がりをより深めることができます。

 

また、SNSでは、共通の趣味を持っている人などと友達になることもできます。

 

主に、InstagramXLineなどのSNSが幅広く使われています。

 

最後に

本記事では、2時間以内の日常的なネットサーフィンが認知症の予防になる可能性について、解説しました。

 

ただし、認知症の発症や進行には様々な要因が関与しているため、適度なネットサーフィンだけでは完全な予防にはつながりません。

 

日常的なネットサーフィンと共に、バランスの取れた食事、適度な運動、人との交流など、複数の有効的な対策を同時に取り入れることが重要だと考えられています。

 

これらの習慣を効果的に組み合わせることで、認知症を最大限に予防できる可能性が高くなるとされています。

 

認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせられる可能性のある病気とされています。

 

そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。

 

MCI段階で発見すれば進行を抑制できる

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

 

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

  

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。

 

一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。

 

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