認知症患者が増加する日本では、さまざまな保険会社が認知症保険を提供しています。認知症保険に加入しておくと、認知症と診断された場合に一時金や年金が支給されるため、治療費や介護費に充てられます。認知症は誰もが発症する可能性があり、楽観視できるものではありません。認知症保険について学び、万が一の際に備えましょう。
認知症保険とは
認知症保険とは、認知症を発症した際に保険金が受け取れる保険です。保障内容は、認知症と診断された際に一時金が支払われたり、介護費用として年金が支払われたりなど、さまざまな保険商品があります。
さらに、認知症患者が起こした事故に対して保障がされる損害賠償責任保険も誕生しました。損害賠償責任保険は、認知症患者が交通事故で怪我した際や行方不明の際にかかった捜索費用等を保証するものです。
認知症保険はなぜ必要なのか
近年、認知症保険を取り扱う保険会社が増加しています。認知症保険が必要とされている理由に、認知症患者の増加と認知症の経済的負担が挙げられます。
認知症は増加の一途
厚生労働省の調査によると、日本において2012年の時点で65歳以上で認知症を発症している患者の割合はおよそ15%、患者数は462万人いると判明しました。認知症患者はさらに増加すると考えられており、2025年には20%、2060年には30%を超えると言われています。
認知症は誰もがなりうるものであり、身近な症状です。そんな認知症に備えたいという需要から認知症保険が必要とされています。
認知症になった場合にかかる医療費と介護費
認知症を発症すると、一度の治療で治らず長期にわたって治療、介護が必要になります。厚生労働省と慶應義塾大学の調査によると、通院にかかる医療費は月額およそ39,600円、入院にかかる医療費は月額およそ344,300円が掛かると明らかになっています。さらに、訪問介護や老人ホームを利用するとさらに費用がかかります。このように、認知症は治療と介護に多くの費用が発生し、経済的負担が大きくかかります。
認知症保険は、医療費や介護費の負担や認知症患者の増加による需要の高まりによって、多くの人が加入するようになりました。
認知症保険に加入する際に確認すべき項目・選び方
認知症保険の種類はさまざまあり、保険金の支払い方法や申し込み条件が異なります。認知症保険を検討している方は、以下の4点をおさえて比較しましょう。
申込みの条件
認知症保険は、一定の条件を満たさないと保険に申し込むことができません。認知症保険では、加入者の健康状態や年齢で加入条件が設けられています。一般的には加入可能年齢が20〜70歳程度に設定されているものが多いですが、各社商品によって前後5〜20歳程度の対象年齢差があります。さらに、認知症発症前にしか加入できない保険、発症後にも加入できる保険などさまざまなため、申し込み条件は確認しておきましょう。
給付の条件
給付条件は、保険金が支払われる条件です。給付の条件は、病院で認知症と診断された場合に支給するタイプと、認知症と診断されていて、かつ、その他の条件を満たした場合に支給するタイプに分かれます。その他の条件は保険会社によって異なり、認知症が一定期間経過した場合や保険契約後一定期間経過した場合、日常生活自立度判定基準で一定ランクと判定された場合などさまざまです。(*1)
(*1:日常生活自立度判定基準とは、高齢者がどれぐらいのレベルの日常生活を送れるかを判断するための基準)
参考:認知症について(厚生労働省)
保険期間
保険期間とは、認知症の発症後に保険会社が保険金の支払いを保障する期間です。多くの保険会社では保険期間を終身と定めており、認知症患者が亡くなるまで保障します。なお、一部の保険会社では1年や10年の保険期間を設けています。
保険金の支払い方法は、一時金もしくは年金ですが、ほとんどの保険会社では一時金での支払い方法を採用しています。
保険料
保険料は年齢によって異なり、年齢が若いほど保険料を安く設定されています。たとえば、太陽生命が提供する「ひまわり認知症予防保険」では、40歳の男性の場合は月額3,658円、40歳女性の場合は月額3,881円です。60歳の男性の場合は月額 4,886円、60歳女性の場合は5,149円です。
各保険会社の保険料は差があり、50歳の場合は保険料が数百円から100,000円程度と変動します。さらに、保障内容も保険会社によって大きく異なります。保険料と同時に、保障内容についてもきちんと確認しましょう。
認知症には備えが重要
高齢化が進む日本では、認知症患者の増加に伴い、認知症の治療費や介護費を保証する認知症保険が誕生しました。認知症保険は、保険会社によって保証内容や保険料、給付条件が異なります。認知症は誰もがなり得る症状です。万が一に備えて、認知症保険を検討してみましょう。
また、認知症は早期発見や日頃から対策することで、進行を食い止めることができます。認知症で経済的負担を軽くするためにも、適度な運動やバランスの良い食事などで認知症予防に努めましょう。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。