「認知症予防に効果的なグッズはないのか」このような疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、高齢の方へのプレゼントにもおすすめの認知症予防グッズを紹介するので、参考にしてください。
また、グッズを使用する際の注意点や、認知症予防のために今すぐ始めたい習慣についても解説します。認知症がそろそろ気になってきた方、ご両親などの身近な方の健康が気になる方もぜひご覧ください。
そもそも認知症予防は可能?
若い頃なら「ついうっかり」で済ませたことも、ある程度の年齢になると「ボケてしまったのかな」と不安に感じてしまうかもしれません。「ボケ防止」というキーワードに反応し、認知症の予防に良いと言われるさまざまな食べ物や運動などに興味を持つ方も多いでしょう。
そもそも認知症は予防が可能な病気なのでしょうか。また、グッズで認知症を予防することはできるのでしょうか。
認知症の発症を遅らせることはできる
現時点では認知症を予防できる決定的な方法は存在しません。認知症には種類がいくつかありますが、例えば脳腫瘍や正常圧水頭症などの原因と治療法が分かっている認知症であれば、適切な治療による完治も可能です。しかし、認知症の大半を占めるアルツハイマー型認知症やレビー小体型は治療法が確立されておらず、完治を見込めないばかりか、薬物療法で進行を遅らせることができる程度のことが多いのです。
一方で、認知症を発症する前段階で認知機能が衰えてきた時に適切な治療やトレーニングを行うことで、認知症の発症時期を遅らせたり、場合によっては認知機能が健全な状態まで改善されたりすることがあります。
つまり、「認知症予防」と謳われているグッズや手法は、いずれも認知症を完全に予防するものではなく、認知機能を改善あるいは維持していくことで認知症の発症を遅らせる可能性があるものと考えることができるでしょう。認知症を不安に感じている方は、認知症予防に有用とされる事柄を生活に取り入れ、毎日続けていくようにしましょう。
手先を使うグッズなどを使って認知機能を訓練する
認知機能を改善あるいは維持していくことで、認知症予防につなげていきましょう。例えば「第二の脳」と呼ばれる手先を動かすことで、脳を活性化し、認知機能の衰えを防ぐことができます。
手先を使うものにはさまざまな種類があります。お手玉やあやとり、折り紙などなら、子どもの頃に遊んだ方も多く、説明がなくてもほとんどの方が利用できるでしょう。また、パソコンやテレビゲームなども、手先を動かし、脳を刺激するグッズのひとつです。興味のあるグッズを使い、認知機能を訓練しましょう。
認知機能に働きかけるグッズ
認知症は年齢を追うごとに罹患率が高くなります。厚生労働省によりますと、65~69歳で認知症に罹患している患者さんは2.8%ですが、75~79歳では13.6%、85~89歳では41.4%と増加の一途をたどります。
高齢になるほど、認知症への不安を感じる方も多くなるのは自然なことです。「ボケ防止が気になる」が口癖の方がぜひ試してみたいもの、まだまだ若く健康でいて欲しい60代、70代、80代の方へのプレゼントとしても使えるグッズを紹介します。
一人の時間を楽しめるパズル
一人で使える認知症予防グッズがあれば、一人の時間を認知機能を改善・促進する時間として過ごせます。例えばジグソーパズルや立体パズルなどはいかがでしょうか。ピース数が多いジグソーパズルなら、毎日少しずつ完成させる楽しみもあります。
緻密な作業が近年人気を集めている大人の塗り絵も認知症予防のために使いたいグッズです。色鉛筆や絵の具セットもそろえれば、さらに楽しみが広がります。その他にも、ルービックキューブや知恵の輪、電子ピアノなどの楽器も、一人で認知症予防活動ができるグッズです。
コミュニケーションの手段としても使えるボードゲームや麻雀
二人以上で使えるグッズなら、手先を動かすだけでなく、コミュニケーションの手段にもなります。認知症を予防するためには普段からコミュニケーションを取ることも有用と言われているので、ぜひ取り入れていきましょう。
例えばオセロや将棋、囲碁などのボードゲームは、二人だけで楽しめるので人数も集めやすいでしょう。また、麻雀や人生ゲームなどの大人数で遊ぶものは、家族団らんの手段にもなります。
外出先や入院時にも楽しめる脳トレ本
脳トレ本は、通院・入院している方へのプレゼントとしてもおすすめです。入院が決まっている方も、ご自分のために購入してみてはいかがでしょうか。本と鉛筆さえあれば場所を選ばず楽しめるので、外出先や移動中の暇つぶしにもなります。
その他にも、編み物や刺繍などの手芸も、手先を使うおすすめのグッズです。今までに手芸に取り組んだことがない方には、初心者向けの簡単なキットなら気軽に取り掛かれるでしょう。
運動する習慣がない方にもおすすめのウォーキングシューズ
ウォーキングシューズも認知症予防におすすめのグッズです。認知症を予防するためには適度な運動が欠かせませんが、普段、運動をする習慣がない方がいきなり強度の高い運動に取り組むのは骨折やケガなどの危険が伴います。ウォーキングなどの負荷の小さい運動から始めましょう。
なお、靴を選ぶときは、必ず靴を履く本人が販売店に出かけましょう。できればシューフィッターのいるお店で、縦のサイズだけでなく足幅や甲の高さも調べて、ぴったりの一足を選ぶようにしてください。
グッズを使うときの注意点
認知症予防は普段の生活からも目指すことができます。WHOの認知症予防ガイドラインによりますと、運動することや禁煙すること、栄養バランスの取れた食事をすることなどの日常的な事柄も、認知機能低下を抑止するための活動として推奨されています。
しかし、グッズを使えば、認知症予防の活動がよりバラエティ豊かになり、楽しいものにすることができるでしょう。以下の2つのポイントに留意して、認知症予防にグッズを活用していきましょう。
- 複数のグッズを利用する
- 定期的に新しいグッズを投入する
複数のグッズを利用する
認知症予防のグッズには、一人で楽しめるものや二人以上で遊べるもの、外出先や入院先に持っていきやすいものなどさまざまな用途のものがあります。グッズがひとつしかなければ、用途も偏ってしまいます。コミュニケーションが取れるものと一人で楽しめるものなど、複数の用途のグッズを利用するようにしましょう。
定期的に新しいグッズを投入する
どんなに優れた認知症予防グッズでも、何度も使えば飽きてしまうことがあります。例えば多岐にわたる問題を網羅した脳トレ本も、何度も繰り返し同じ問題を解くのでは、答えを覚えてしまって脳の刺激にならない可能性があります。飽き防止のためにも、定期的に新しいグッズを投入するようにしましょう。
認知機能の衰えはセルフチェックで早めに察知
認知機能の衰えは、少しずつ進行するケースも珍しくなく、なかなか本人は自覚しがたいものです。一緒に暮らしている家族ですら気付かないことがあります。
しかし、認知機能の低下を「ただのもの忘れ」としてそのまま放置しておくことはおすすめできません。放置しては良くない理由と、認知機能をセルフチェックする方法について見ていきましょう。
早めの気付きで改善が可能
認知症とは診断できないものの、認知機能が正常とは言えない状態を「軽度認知障害(MCI)」と呼びます。軽度認知障害は認知症の前段階で、この時点で認知機能の衰えに気付けば、適切な治療や予防活動によって、認知機能が健全な状態まで改善したり、認知症の発症を遅らせることが可能なことがあります。
認知機能の衰えは通常は段階的に進行します。定期的に認知機能の状態を測定することで軽度認知障害の段階で早期発見し、認知症予防につなげていきましょう。
グッズを使った脳トレと保険加入で認知症に備えましょう
グッズを使うことで、認知症予防活動の幅が広がります。一人で楽しめるものに二人以上で楽しめるものを加え、多彩な予防活動をしていきましょう。また、定期的に認知機能を測定することでも、認知症予防を目指すことができます。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。