書店に行けば認知症予防を謳ったドリルや問題集が多数販売されていますが、実際のところ、効果は期待できるのでしょうか。ドリルを続けることで得られる効果を具体例とともに解説し、おすすめ本や無料ドリルを紹介します。認知症予防のために何か始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
認知症予防にドリルは効果的?
島根県にある出雲市民リハビリテーション病院では、認知機能に問題がある入院患者にオリジナルのドリルを解いてもらったところ、70%以上の患者に認知機能の改善が見られました。このことからも、認知機能に問題が見られる方がドリルを続けることで、認知機能の改善を期待できることが分かります。
出雲市民リハビリテーション病院では、患者が飽きずに続けられるように計算や穴埋め問題などさまざまなバリエーションの問題を提供しました。多くの問題が高齢者の日常生活と関係があり、「詐欺被害を避けるには?」「誤飲を防ぐには?」といった実際の生活に役立つ情報もドリルに組み込まれています。
認知症予防ドリルのおすすめ5選
認知機能に不安がある方や衰えが気になる方は、認知症予防を目指してドリルを始めてみてはいかがでしょうか。毎日コツコツと続けることで脳を刺激し、認知症予防につなげることができるかもしれません。ここでは、認知症予防に効果が期待できるドリルを5つ紹介します。
出雲リハ病院式認知症予防ドリル150
上述の出雲市民リハビリテーション病院で実際に使われた問題を集めたドリルです。1日5問、30日分が掲載されています。問題ごとに解説があるので、間違えてしまったときでも正しい知識を学ぶことができます。また、オレオレ詐欺の予防法や誤飲・誤食を防ぐ問題など役立つ問いも多いので、日常生活の知恵を増やす効果も期待できるでしょう。
認知症をくいとめる! 脳トレーニングドリル
アルツハイマー型認知症を専門に学び、1万人以上の脳MRI画像を診てきた医学博士が監修した脳トレーニングドリルです。間違い探しや点つなぎ、単語の組み立て、時間を逆算する問題など、多岐にわたる問いが掲載されています。最近、話しがかみ合わないことが多い方や、物事を1回で済ませられなくなってきた方は、ぜひ今日からドリルを始めて脳を鍛えてみましょう。
脳を鍛える大人の計算ドリル
ゲーム機を使った脳トレで全国に「脳トレブーム」を巻き起こした東北大学の川島隆太教授の研究に基づくドリルです。前頭前野の機能が衰えると健康な生活の維持が難しくなりますが、ドリルで効果的に刺激を与えることで、脳の基礎体力を向上し、健康で自立した生活を続けやすくなります。
なお、前頭前野を刺激するためには、問題に集中して取り組み、できるだけ速いスピードで解くことが必要とされています。ぜひ本書を利用して、脳の基礎体力を鍛えていきましょう。
1日1分でもの忘れ予防 毎日脳トレ! 漢字ドリル366日
1日にわずか1分だけで取り組める脳トレ漢字ドリルです。忙しい方も1分程度なら続けやすいのではないでしょうか。もの忘れが気になる方や持ち物の整理ができなくなったと感じることがある方はぜひ今すぐ取り組んでみましょう。366日分の問題と達成表が入っています。
大人の脳活&生き生きドリル1246問
1日に1見開きを解くだけで、楽しく脳トレできるドリルです。50日分が掲載されていて、長い期間取り組むことができるでしょう。長期入院のお供としてもおすすめです。計算や図形、漢字などの25種類もの問題が、飽きないように組み合わされています。得点を出せるようになっているので、点数を見てモチベーションを上げたい方もぜひ試してみましょう。
認知症予防ドリル無料版でお試し
紙のドリルも良いですが、インターネットで公開されているWEBドリルも活用できます。無料で利用できるものも多いので、「認知症予防にどのような問題を解くのか知りたい」方も気軽に試してみることができるでしょう。
【ダスキン】漢字や計算などの幅広い問題を提供
介護用品の販売やレンタルを手掛けるダスキンでは、認知症予防に向けた無料ドリルを公開しています。漢字や熟語、クロスワードパズル、計算などの幅広い問題を紹介しているので、ぜひご覧ください。なお、直接答えを入力することができないため、印刷をするか、ノートに答えをメモするかして利用しましょう。
【ORIGAMIシニア】印刷して使えるプリント
漢字や穴埋め問題、ナンプレなどの問題を無料で楽しめるサイトです。こちらも直接答えを入力できるスタイルではないので、プリントアウトするか、ノートに答えを書き留めるかする必要があります。1問に含まれる問題量が多く、簡単なものでも5分、問題によっては30分ほどかかるものもあるため、じっくりと時間をかけて脳トレに取り組みたい方向けです。
【介護アンテナ】思い出す力を鍛える昭和クイズ
介護情報を集めたサイト・介護アンテナでは、プリントアウトして使える昭和クイズを提供しています。昔のことを思い出したり、思い出したことから連想したりすることは、記憶力に働きかけ、脳トレ効果を期待できます。高齢者の方は昭和生まれの方が多いので、昭和の出来事や流行ったものなどを思い出すことで、脳を鍛えることができるでしょう。
予防につなげる認知機能の定期的な測定
認知機能の低下は、ある日突然起こるのではありません。認知機能が徐々に低下してきたときにそれを放置すると、他人のサポートを必要とする要支援状態や自分で自分のことができない要介護の状態まで発展することもあります。
認知症の予防を目指すなら、ドリルを習慣的に行うことで脳を活性化することに加えて、普段から認知機能の変化に敏感になっておくことが大切です。
認知機能の低下を早めに知る意義
認知機能の衰えに早期に気付くことができれば、元の健康な状態に戻る可能性も決して低くありません。特に、認知症の前段階を軽度認知障害(MCI)と呼びますが、軽度認知障害の状態で早期に察知すれば、適切な治療や生活習慣の見直しによっておよそ3割の方が健常な状態に戻るという研究報告もあります。
軽度認知障害の段階で異変に気づき、認知症の発症リスクを下げるためにも、認知機能を定期的に測定して衰えを早期に察知するようにしましょう。