当社VRヘッドセット及び『認知機能セルフチェッカー』を用いた共同研究成果が国際学術誌「Frontiers in Aging」に論文掲載されました
株式会社FOVEは、新潟医療福祉大学(所在地:新潟県新潟市、学長:西澤正豊)および東和薬品株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:吉田逸郎、以下:東和薬品)等と共同で実施した、当社の視線追跡型VRデバイス及び『認知機能セルフチェッカー』を用いた臨床研究の成果が、国際学術誌である「Frontier in Aging」(発行元:Frontiers Media SA)に掲載されたことをお知らせします。
本研究は、認知機能評価ツールである『認知機能セルフチェッカー』の信頼性と妥当性、およびMCI(軽度認知障害)の評価における有用性を検証することを目的として、2023年1月より共同研究を開始し、新潟医療福祉大学医療技術学部の児玉直樹教授を研究実施責任者とし、鳥取大学医学部の浦上克哉教授の協力のもと、東和薬品の推進サポート、協力医療機関の連携により進められました。
『認知機能セルフチェッカー』は、当社が製造する視線追跡技術搭載のVRヘッドセットを活用した認知機能評価サービスで、日本国内の医療機関を中心に広く導入が進んでいます。VR内ディスプレイに表示される複数の認知課題に対して利用者がどのように視線を動かすかを記録し、その眼球運動データから独自の評価アルゴリズムを通じて客観的に認知機能を評価します。過去に実施した臨床研究(過去プレスリリース)においても、既存の神経心理学検査(MMSE及びMoCA-J)との高い相関性が確認されています。
◆研究成果のポイント
- 「認知機能セルフチェッカー」は、健常群と軽度認知障害(MCI)群の識別能力を評価する分析においてAUC 0.857、認知症群とMCI群の識別能力はAUC 0.870を示し、確立された既存の神経心理学検査MoCA-J(各々AUC 0.915、AUC 0.878)と同等の高い評価精度を示した。
- 「認知機能セルフチェッカー」の総合評価スコアは、MMSEの評価スコア(r=0.566, p<0.001)およびMoCA-Jの評価スコア(r=0.648, p<0.001)と中程度の有意な相関を示し、確立された既存の認知機能評価手法との整合性を示しました 。
- 「認知機能セルフチェッカー」の認知課題を構成する5領域(記憶、判断、空間認知、計算、言語機能)の各領域別スコアが3群間(健康群・MCI群・認知症群)で統計的に有意な差(p<0.001)が認められ、総合スコアによる評価のみならず、領域別の多角的評価の有用性を示した。
◆掲載論文について
- 論文タイトル: Possibility of screening for mild cognitive impairment via an eye tracking-based cognitive scale
- 著者: Naoki Kodama, Sou Takahashi, Masazumi Tsuji, Yuji Kawase, Satoshi Naruse and Katsuya Urakami
- 掲載誌: Frontiers in Aging, Volume 6 – 2025
- 発行日: 2025年6月27日
- DOI (Digital Object Identifier): https://doi.org/10.3389/fragi.2025.1532550
◆本研究成果の意義と今後の展望
今回の査読付き国際学術誌「Frontiers in Aging」への論文掲載により、当社が提供する『認知機能セルフチェッカー』は、認知機能評価ツールとしての医学的な信頼性と妥当性を裏付ける新たなエビデンスを獲得しました。
認知症予防においては、MCI(軽度認知障害)段階での早期発見と早期介入が極めて重要とされています。世界で最も高齢化が進む日本において、その可能性がある対象者へいかに効果的にアプローチし、医療機関への受診勧奨から連携体制を構築していくかは、喫緊の社会課題とされています。
本研究成果は、特にMCI段階の評価において新たな価値を示す可能性があることを示唆しており、今後の診断支援への応用が期待されます。当社はこれからも『認知機能セルフチェッカー』に関する継続的な研究を通じて医学的エビデンスを積み上げ、その普及を一層推進することで、この重要な社会課題の解決に貢献してまいります。
(ご参考)
- 「認知機能セルフチェッカー」サービスサイト:https://cog-selfcheck.jp/
- 東和薬品株式会社について
ジェネリック医薬品の研究開発・製造・販売を行う総合メーカー。「人々の健康に貢献する」という企業理念のもと、健康維持や未病・MCIへの取り組みを通じて「健康寿命の延伸」への貢献を目指す。
URL: https://www.towayakuhin.co.jp/ - 新潟医療福祉大学について
看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療ITを学ぶ6学部15学科の医療系総合大学。チーム医療を実践的に学ぶ環境と、高い国家試験合格率・就職実績を誇る。2026年4月に「健康データサイエンス学科(仮称)」を新設予定(認可申請中)。
URL: https://www.nuhw.ac.jp/
◆本件に関するお問い合わせ
株式会社FOVE ヘルスケア事業部
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