認知症の初期症状で性格が変わる?よくある変化と早期発見方法を解説

「なんだか最近、怒りっぽくなった」認知症の初期症状では、性格の変化が現れることがあります。「なんだか最近、怒りっぽくなった」というような性格の変化が、認知症の発見のきっかけとなることが少なくありません。この記事では、認知症の初期症状で見られる性格の変化や、それ以外の症状の具体例について解説します。また、認知症の早期発見や治療のために、日頃から行うべきことについても紹介します。

老夫婦

認知症の初期症状で性格の変化はある?

認知症の初期症状として、性格が変わってしまったかのように見えることがあります。「怒りっぽくなった」という例が代表的ですが、その他にはどのような変化が見られるのでしょうか。

起こり得る性格の変化

認知症の初期症状における、代表的な性格の変化には以下があります。

  • 怒りっぽくなる
  • 頑固になる
  • 失敗を人のせいにする
  • 人付き合いが悪くなるなど
  • 気遣いができなくなる

このような変化が起きたからと言って、認知症であるとは限りません。いろいろな原因により性格の変化は見られますが、認知症の可能性もあります。

このうち「怒りっぽくなる」という症状については、以下記事で詳しく紹介しているので参考にしてみてください。

認知症の初期症状「怒りっぽい」はなぜ起きる?原因と対処方法を解説

性格の変化を感じた時に周囲はどう対応すべきか

家族の振る舞いが以前と違うと感じた時は、医師や専門家に診てもらうことが大切です。「加齢のせい」「もとの性格がきつくなっただけ」など安易に考えていると、もし認知症であった場合に対応が遅れてしまうことになります。

現代は、症状が軽い段階でも認知症の診断がつき、治療を開始できるようになっています。いつもの様子と違うことに気づいたならば、医師に相談してみましょう。

認知症の種類よっては、最近では薬で進行を遅らせることが可能になってきました。また根本的に治療可能な認知症もあります。つまり、発見は早ければ早いほど良いのです。また、適切な診断を受けて、性格の変化の原因を理解することで、本人や家族の悩みを軽減することにもつながります。

認知症の初期症状から見られる中核症状と周辺症状

椅子

認知症の初期症状は、性格の変化だけではありません。認知症の症状は、「中核症状」と「周辺症状」に大きく分類されます。認知症では、物忘れをはじめとする中核症状が現れ、段階的に深刻化していきます。ここでは、認知症の具体的症例について紹介します。当てはまるものがないか、初期症状をチェックしてみてください。

中核症状とは

中核症状とは、認知症の中核とも呼べる症状です。症状の程度に差があるにせよ、全ての認知症の人に現れます。また、中核症状は進行を遅らせることはできても、完治させることはできないとされています。

中核症状の代表的な症例としては、以下が挙げられます。

  • 記憶障害
  • 見当識障害
  • 遂行機能障害
  • 失行・失認・失語

記憶障害

認知症になると、脳の記憶を司る部分が破壊され、記憶障害が起きます。認知症における記憶障害の特徴は、以下の4つがあります。

  • 忘れる順番は短期記憶から長期記憶
  • 体験を丸ごと忘れる
  • 記憶障害の度合いが1年前よりも重い
  • 体で覚えたことは忘れにくい

認知症の初期段階では、最近の出来事に関する短期記憶ほど失われやすく、長期記憶は忘れにくいという特徴があります。つまり、昨日、今日の出来事を忘れても、子供の時の記憶などは保たれやすいということです。

体験を丸ごと忘れてしまうというのも、認知症の物忘れの特徴です。例えば「今日のお昼に何を食べたか思い出せない」のではなく、「お昼ご飯を食べたこと自体を忘れてしまう」のです。

また、年齢から来る物忘れは1年経ってもそれほど違いは見られませんが、認知症の記憶障害は進行がはやく、周囲の家族には1年前より今の方が進んでいるようにみえます。

体で覚えたことや一般的な知識は忘れにくいことも特徴です。例えば、楽器の演奏方法や信号などの交通ルールは忘れにくいとされます。

見当識障害

見当識障害とは、時間、場所、人物など、自分が置かれた状況を把握できなくなる症状です。

最初の症状としては、時間や季節がわからなくなるケースが多くみられます。そして、症状の進行に伴って、行き慣れた場所で迷う、知っている人が誰かわからなくなるなど、場所や人物の認識が困難になります。

遂行機能障害

遂行機能障害とは、物事を順序立てて考えて実行することができなくなる症状です。日常生活においては、料理や家電の利用など、手順を守って遂行する作業が難しくなります。

無計画な行動に出たり、指示がないと動けなくなったりする人もいます。そのため、実行機能障害は、認知症の症状のなかでも社会生活を送る上で影響が大きい症状だと言われます。

失行・失認・失語

失行とは、道具の使い方や服の着方がわからなくなるなど、日常的な動作ができなくなることです。

失認とは、五感で物事を判断することができなくなることす。見たり触ったりしてもそれが何かを認識できず、自分がどこにいるかわからなくなることもあります。

失語は、相手の言葉や文章を理解できなくなったり、言いたい言葉を発することが難しくなったりすることです。

いずれも、身体的・器官的な問題がないにもかかわらず、今までできていたことができなくなるという点で共通しています。これらは認知症による脳神経の障害が原因と考えられています。

周辺症状とは

散歩

周辺症状とは、中核症状の二次症状として起きるものです。中核症状とは異なり、全ての認知症の人に現れるわけではありません。周囲の環境や人間関係が本人に適していれば、発症しないこともあります。周辺症状は現在行動・心理症状(BPSD)とも呼ばれます。

周辺症状は、以下の2つの症状に分類されます。

  • 行動症状
  • 心理症状

行動症状

周辺症状のうち、具体的な行動として現れるのが行動症状です。特に多い症例としては、以下が挙げられます。

  • 徘徊
  • 暴言や暴力
  • レム睡眠行動異常
  • 食行動異常
  • 性行動異常

徘徊とは1人で外出してしまうことで、記憶障害や認知機能の低下の不安を原因とすることが多いとされています。暴言や暴力は、理性を司る脳の機能低下や、介護を受けることへのストレスが原因とされます。

レム睡眠行動異常とは、夢に反応して大声を出したり、暴れたりしてしまう症状です。これは筋肉の動きの抑制機能の低下により引き起こされます。食行動異常は、過食や食べ物以外のものを食べてしまうことで、遂行機能障害などが原因と考えられます。

性行動異常とは、下半身を露出させたり異性に性的な言動を行ったりすることで、自制心が希薄になることで、このような行動に出てしまうと考えられています。

問題行動と見なされることばかりですが、本人が「中核症状になんとか適応しよう」ともがいた結果、このような行動に現れていることも少なくありません。

心理症状

認知症の初期症状に比較的多い心理症状には、妄想とうつ状態があります。

妄想は、記憶障害が原因として引き起こされ、特に多い例では身近な人に物を盗まれたと思い込む「物盗られ妄想」が挙げられます。うつは、中核症状の影響で「今までできたことができなくなっている」ことによって、意欲や自発性が低下して引き起こされます。特に初期段階では、認知症の初期症状が老人性うつと間違われることもあります。

認知症の中核症状は通常進行性で完治は難しい

認知症の家族がいる人は「最後はどうなるのだろう」と不安に思うこともあるでしょう。簡単にいうと、認知症は多くの場合進行性で、治すことが難しいとされています。

具体的な症状としては、末期段階では家族の顔を認識したり、会話自体が難しくなったりします。加えて失禁や筋固縮などの症状が出たり、食事を飲み込めない状態にもなります。歩行障害が出ることもあり、生活の全てにおいて介護を要するようになります。

このような状態にならないためには、初期の段階で認知症に気づいて早期に治療に入ることが大切です。

早期発見と定期的なチェックが重要

上述の通り、認知症の末期段階になると、その症状は急激に進みます。その一方で、もし早期に発見して適切な措置を講じることができれば、進行を遅らせることもできます。

軽度認知症の状態であれば進行を遅らすことが可能

認知症の一歩手前の段階に「軽度認知症」という状態があります。物忘れなどの症状が出てもその程度はまだ軽く、正常な状態と認知症の中間の状態です。

軽度認知症を放置してしまうと、いずれ認知症へ進行する可能性が高いと考えられています。その一方、この段階で発見して適切な治療をした場合には、回復の可能性が14%〜44%もあると言われています。つまり、認知症を悪化させないためには早期発見が何よりも大切であるということです。

認知症保険での備え

認知症になった場合への金銭的備えも大切になってきています。ここでは、認知症保険が重要な理由について解説します。

認知症保険が重要な理由

高齢化が進む日本においては、今後も認知症患者の数は増え続けると予想されています。具体的には、2025年には高齢者の5人に1人にあたる約700万人が認知症になるという推計もあります。

しかし、だからと言って入院や通院の医療費が安くなるわけではありません。例えば入院医療費に関していうと、高額医療費支給制度を申請したとしても、70歳以上の一般的な所得では月6万円程度かかると言われています。(参照:厚生労働省)このような予期せぬ出費にも、慌てずに対応できるよう、「認知症に備えた保険」が注目されています。

保険代理店でプロに相談

「認知症に備えた保険」とひとくちに言っても、その種類は様々です。国内のいくつもの保険会社が、実に多様な保険商品を販売しています。

その中から、自力で自分の環境に合った商品を見つけ出すのは、なかなか骨の折れる作業です。そこで、保険のプロに相談してみることがおすすめです。

保険代理店では、複数の保険商品から、相談者の家族構成や将来の希望にぴったり合ったアドバイスをしてくれます。認知症保険のことを考えたら、まずは専門家に相談してみることをおすすめします。

性格の変化を感じたら早めのセルフチェック

ここまで、認知症の初期症状としての性格の変化について紹介してきました。認知症の初期には、以下のような性格の変化が見られることがあります。

  • 怒りっぽくなる
  • 頑固になる
  • 失敗を人のせいにする
  • 人付き合いが悪くなるなど
  • 気遣いができなくなる

このような変化があった際には、早急に医師や専門家に診てもらう、もしくは認知機能チェックをすることが大切です。

認知症は早期発見をして適切な治療を施すことで進行を遅らせることができる病気です。性格の変化が非常に目立つ場合、アルツハイマー型よりも前頭側頭葉変性症などほかの認知症が多いのですが、その場合、治療薬がないのが現状です。症状の深刻化を防ぐには、初期段階での発見が何よりも重要となってきます。この記事で紹介した「性格の変化」が気になる場合には、定期的な認知機能セルフチェックを行って頂くことをおすすめします。

※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。

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