認知症になるといくらかかるの?
2025年には日本の65歳以上の高齢者の5人に1人が発症すると想定されてる認知症。特に認知症患者の半分を占めているアルツハイマー型認知症の場合は、未だに完全に治せる薬が開発されていません。もし認知症を発症した場合には治療費や介護費用等にどの程度のお金が掛かるのかを知るのは、本人だけでなく、それを支える周りの家族にとっても将来を見据える上でとても大切なことです。
病院で認知症診断にかかる費用は?
認知症は早期発見が重要であると言われながらも普段の生活の中で本人やその家族が初期段階の兆候に気付くのは非常に困難であり、実際に異変に気付いて病院に行く頃には症状がかなり進行しているケースが多いと言われています。少しでも心配になったらためらわずに専門医による総合的な検査を受けるべきですが、実際に検査に掛かる費用を簡単に見ていきましょう。
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- 臨床心理学テスト
設問に対して口頭や筆記によって回答する簡易的なスクリーニング検査です。長谷川式認知スケールやMMSEと呼ばれるテストが広く利用されています。
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- 診療費用 800円(保険適用される為、窓口支払いは1〜3割負担)
- 血液検査
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少量の血液採取を行なって、認知機能低下に関与していると言われる遺伝子の型やアルツハイマー型認知症の原因物質と言われているタンパク質の量を調べることで発症リスクを推定します。
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- APOE遺伝子検査 15000円〜25000円(保険適用外、自費診療)
- MCIスクリーニング検査 15000円〜25000円(保険適用外、自費診療)
- 画像検査
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認知症診断には主にMRI・CT・SPECT・PETが利用され、主に脳を撮影した画像から脳の萎縮具合を診たり、脳の血流量や血流異常あるいは脳内での糖の代謝を確認して認知症のタイプや進行度を判断します。
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- MRI検査 15000円〜30000円(保険適用内、1〜3割負担)
- CT検査 15000円〜30000円(保険適用内、1〜3割負担)
- SPECT検査 10万円〜
- PET検査 10万円〜
認知症と診断されたらどんな費用が掛かる?
上記の様々な検査を通じて認知症と診断された場合の大まかな治療費や通院費についても見てみましょう。
厚労省のある調査によると、2014年度における認知症患者1人あたりの入院医療費はおよそ月額34万円、外来医療費はおよそ月額4万円でした。治療が始まると出費が多くなることが分かります。認知症を発症しても、家での生活が可能な患者の場合は、薬物治療としてアリセプトやレミニール、メマリー等の抗認知症薬が処方され、服薬しながら経過観察をします。
認知症治療薬について
一方で、介護者が特に困難を感じる粗暴言動・介護抵抗・不潔行為・被害妄想・徘徊・不眠などのいわゆる「周辺症状」と呼ばれる症状が激しくなった場合には入院治療を行うことも検討しなければなりません。
認知症に対する治療と共に、日頃の生活において介護サービスが必要となるケースもあります。所定の手続きを経て「要介護認定」を受けられれば、認定区分に応じた支給額と、認定区分に応じたサービス内容を利用することが可能です。もし支給限度額を上回る介護サービスを利用したい場合は、基本的に費用は全額利用者負担となります。
日本では2025年に高齢者の5人に1人が認知症を発症する可能性があると推定されており、人生100年時代において将来予防したい症状として日本人の死因1位である「癌」よりも「認知症」だと答える人の方が多いというアンケート結果もあります。カラダが健康な今のうちからできることとして、費用面で前もって準備をしておくことも安心感を得るという意味では必要なことかもしれません。