認知症が心配になってきていて認知症検査を受けようと思っているものの、費用に関して不安に思っている方が多いのではないでしょうか。
この記事では、認知症検査の主な3つの方法とその費用、そして認知症検査でよくある3つの疑問点などを解説します。
また、認知症の早期察知のためにするべきことも併せて紹介しますので、認知症の早期察知及び定期的なセルフチェックの参考にしてください。
認知症検査の方法と費用
認知症検査の内容には、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 神経心理学検査
- 脳画像検査
- MCIスクリーニング検査
認知症検査を受ける病院にもよりますが、神経心理学検査は検査費用が比較的手頃な料金で実施できます。
一方の脳画像検査とMCIスクリーニング検査はそれぞれCTやMRIなど専門の機械が必要になる認知症検査のため、検査費用が比較的割高になってしまうケースが見受けられます。
ここでは、それぞれの検査の概要と費用について解説します。
神経心理学検査
神経心理学検査は「長谷川式簡易知能評価スケール」や「MMSE(ミニメンタルステート検査)」などが代表的な問診形式の認知機能検査です。
名前や生年月日といったご自身にかかわる基本的な内容の質問や簡単な計算問題、そして記憶力を測る問題などが出題されます。
神経心理学検査は問診や簡単な問題に回答する種類の認知症検査のため、検査費用が比較的安い傾向にあります。
保険適用の有り無しによっても異なりますが、おおよそ数百円~数千円で受けられます。
脳画像検査
脳画像検査はCTやMRIといった専門的な機械を使って脳の断面図を撮影・確認する認知症検査です。
CTやMRIが完備されている総合病院などでしか受けられませんが、脳の萎縮度合いを画像で直接確認し、認知症の進行度を見ることができると言われています。
脳画像検査はCTやMRIなどの機械を使用することや、放射線技師など多くのスタッフの人手が必要になることから、神経心理学検査と比較して高い費用がかかる傾向にあります。
保険適用の有り無しによっても異なりますが、おおよそ数千円~3万円で検査を受けられます。
MCIスクリーニング検査
「アミロイドβペプチド」と呼ばれる老廃物が脳に蓄積して神経細胞を破壊することで、認知症の発症リスクが高まるという事が近年わかってきました。
MCIスクリーニング検査は、アミロイドβペプチドを排除したり毒性を弱めたりする機能を持つ3つのタンパク質の血中濃度を調べる内容の血液検査です。
MCIスクリーニング検査は比較的新しい認知症検査の種類で、全国の総合病院や専門医などで検査できる環境が整っています。
しかしながら、検査費用はやや高額になる傾向にあります。保険適用の有り無しによっても異なりますが、おおよそ数千円~2万円で検査を受けられます。
認知症検査でよくある疑問
認知症検査を受けるにあたって、多くの人が疑問に感じやすい点としては以下の3つがあります。
- 認知症検査はどこ(何科)で受ける?
- 認知症検査はいつ受けるべき?
- 認知症検査の前に準備すべきことは?
ここでは、大きく3つの疑問について解説します。
認知症検査はどこで(何科)で受ける?
「認知症検査は何科で受ければいいの?」と思う人も多いでしょう。
認知症検査は、「もの忘れ外来」「メモリークリニック」というような医療機関に加え、精神科、心療内科、脳神経外科、そして神経内科などの診療科で受けることができます。
しかし、具体的な検査の内容は病院によって異なりますので、必ず事前に確認するようにしましょう。
認知症検査には、生活習慣や既往歴が重要な参考資料となります。
できれば、普段から通っているかかりつけ医に相談して、認知症検査を行える病院を紹介してもらうことをおすすめします。
かかりつけ医がいない場合は、お近くの物忘れ外来や認知症疾患医療センターなどを受診しましょう。
また、近年では、もの忘れ外来や認知症外来といった専門外来を開設している病院も少なくありません。
専門外来では、日本認知症学会などの研究機関で「認知症専門医」の資格を取得した医師が診察してくれる場合もあります。
認知症検査はいつ受けるべき?
認知症は、認知症発症前に認知機能の低下を早期に察知するのが何よりも重要と言われています。
受診のタイミングは「最近もの忘れが増えてきたな……」と感じるなど、認知機能の低下について少しでも思い当たる節があれば、出来るだけ早めに受診できるよう日頃から心掛けておくことが大切と考えられます。
認知症は、MCI(軽度認知障害)のうちに早期に察知して適切な措置を講じられた場合には回復も見込めると言われています。
MCIのうちに早期察知することで、ご家族や医師などと話し合って「これからの治療や介護などをどうするか」ということを一緒に考えることができる可能性もあります。
また、ご本人を支えるご家族も、認知症に関する勉強を行えるため、より適切なケアをほどこしてあげやすいというメリットもあります。
以上のような理由から、認知症検査は少しでも疑いがあれば早めのタイミングで受診することが何よりも大切であると言われているのです。
検査の前に準備すべきことは?
認知症検査を受ける前には、以下のことを準備して行くことが大切です。
- 認知症検査を受けるご本人の気持ちの整理
- 認知症検査を受けるご本人の既往歴や現病歴などに関するメモ
認知症検査を受けて認知症と診断されることは、ご家族にとってはもちろんご本人にとっても非常につらく受け入れ難い事と思われます。
そのため、認知症検査を受けたがらない人も多く、対策が遅れてしまうケースが見受けられます。
もし、認知症に対する不安感がぬぐえない場合には、認知症に関する書籍を読んだり、認知症の支援団体のホームページを見たりすることが有用と考えられます。
ご自分の中での認知症に関する知識を深めていくと、認知症に対する不安感が解消されやすいかもしれません。
そして、認知症検査のために受診することが決まったら、ご本人の既往歴と現病歴に関するメモを用意しましょう。
現在飲んでいる薬も分かるようにおくすり手帳も併せて持参すると、より正確な診断をつけやすくなると言われています。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせられる病気です。
そして、早期発見には定期的に認知機能をチェックすることが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。
定期的に認知機能をチェックして早期察知に努めましょう
ここまで、認知症検査の主な3つの方法と、認知症検査にかかる目安の検査費用を解説しました。
認知症検査は総合病院や神経内科などのクリニックで検査でき、おおよそ数千円~3万円程度の費用で検査できます。
認知症はMCI(軽度認知障害)の状態で早期に察知できれば回復の見込みがあると言われています。
早期察知のためには、定期的かつ恒常的に認知機能を測定し、日頃から小さな変化に気づける環境をつくっておくことが有用であると考えられます。
利用者に負担をかけずに短時間で測定できる認知機能セルフチェッカーを用いて、認知機能測定の習慣をつくってみてはいかがでしょうか。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。