認知症テストの点数一覧!20点以下だと認知症の疑い?セルフチェックで認知症を早期発見

 

両親が怒りっぽくなったり物忘れが増えたりしたとき、認知症を疑う方は少なくありません。

医療機関の受診を促しても、断られる場合もあるでしょう。

まずは、点数で採点できる認知症テストを勧めてみてはいかがでしょうか。

 

ここでは、点数で採点できる認知症テストを3つ紹介するとともに、テストの注意点を解説します。

両親の認知症を疑っており、点数でわかりやすく採点できるテストを探している方は参考にしてみてください。

 

 

初期の認知症はテストの点数から簡易検査が可能

認知症は、記憶力や判断力が低下する病気です。初期の認知症は、記憶力や判断力を調べるテストで評価できます。認知症の具体的な進行度までは判定できませんが、早期発見に役立つでしょう。

認知症検査の種類は次の3つです。

  • 神経心理検査
  • 画像検査
  • 血液検査・心電図検査(必要に応じて)

 

上記の「神経心理検査」が認知症を点数で評価するテストです。

実は、75歳以上の高齢ドライバーが運転免許を更新するときに認知症テストが実施されています。

認知症テストには、現在の年度や今日の日付を回答する「時間の見当識」、記憶した複数のイラストを思い出して回答する「手がかり再生」、時計の文字盤と指定の時間を示す時計の針を描く「時計描画」などがあります。

 

点数式で、第1分類(0~48点)、第2分類(49~75点)、第3分類(76~100点)に分類され、第1分類に該当する場合は、専門医の診断を受けることが義務付けられます。

認知症と診断された場合は、運転免許を更新できません

 

簡単に点数で判断できる認知症のスクリーニングテスト

点数で評価できる認知症のスクリーニングテストのなかから、ここでは、多くの医療機関で採用されている簡単に点数で評価できる3つのテストを紹介します。

参考:一般社団法人日本老年医学会『認知機能の評価法と認知症の診断

長谷川式簡易知能評価スケール

長谷川式簡易知能評価スケールは、精神科医の長谷川和夫氏が開発したテストです。

テストにかかる時間は約10~15分のため、少ない負担で実施できます。

また、テストの実施者が医師ではなくても正確に判定できることも特徴です。

 

30点満点式で、20点以下だと認知症の疑いがあると判定されます。

テストの内容は次のとおりです。

  • 現在の年齢の質問(1点)
  • 今日の日付と曜日の質問(年・月・日・曜日で各1点)
  • 現在いる場所の質問(自発的な回答2点、5秒後にヒントを与えて回答1点)
  • 3つの言葉を伝えて後から尋ねる記憶テスト(各1点)
  • 100から7を何度も引いてどこまで引けるか(各1点)
  • 伝えた数字を逆から言えるか(2パターン、各1点)
  • 5つの物を目の前で隠して何を隠したか尋ねる(各1点)
  • 野菜の名前を尋ねる(6個1点、7個2点、8個3点、9個4点、10個5点)

上記のように、回答の内容やヒントの有無で点数が異なります。

点数が21点以上でも気になる症状がある場合は、専門医に相談することが大切です。

 

改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)の実際の問題はこちらからご覧ください。

 

・長谷川式簡易知能評価スケールに関する詳しい記事はこちら↓

長谷川式認知症スケール(hds-r)とは?MMSEとの違いは?特徴ややり方、評価点数について解説

 

MMSE(ミニメンタルステート検査)

MMSE(Mini Mental State Examination)は、アメリカ合衆国のFolstein夫妻が開発した認知症のスクリーニングテストです。

認知症の中でもアルツハイマー型認知症の可能性を調べることが主な目的ですが、他の認知症の可能性も確認できます。

その後、MMSEの日本語版である「MMSE-J」が作成されました。

MMSE-Jの問題数は11個で、点数で認知症の可能性を評価します。

30点満点中27点以下は「軽度認知障害が疑われる」、23点以下で「認知症疑い」となります。

 

他の認知症テストとは異なり、医療機関で実施することが基本です。

従来は自費診療でしたが、2018年の診療報酬改定によって保険が適用できるようになりました。

 

MMSEの実際の問題はこちらからご覧ください。

 

・MMSEに関する詳しい記事はこちら↓

認知症テスト「MMSE(ミニメンタルステート検査)」とは?MMSEの具体的な内容や特徴、評価方法(カットオフ値)についても解説

 

認知症予防協会の認知症自己診断テスト

一般社団法人認知症予防協会が公開している認知症のスクリーニングテストです。

スマホやタブレット、パソコンからWEB上で受けられるため、外出先や職場、介護施設内など、さまざまな場所で実施できます。

図面から情報を読み取ったり、ひらがなを数字に書き換えて計算したりする問題が中心です。

そのほか、物を別の角度から見たときの形や時計の読み取り、記憶力の確認があるなど、ほかのスクリーニングテストと大きな差はありません。

 

認知症スクリーニングテストを実施する際の注意点

注意点

認知症スクリーニングテストは、手軽に実施できることが特徴です。

しかし、注意点を守らなければ、認知症の診断においてトラブルが起こる可能性があります。

テストを実施するときは、次の注意点を守りましょう。

点数だけで認知症かどうかを判断しない

認知症テストの結果は、あくまでも目安です。そのときの体調や精神状態によって点数が変動したり、たまたま回答できたりするケースがあります。

そのため、「点数が基準に満たなければ認知症の可能性が高い」、「基準を満たしていれば認知症ではない」などと自己判断しないことが大切です。

 

認知症スクリーニングテストは、認知症の診断に必要な「神経心理検査」の1つです。

認知症は、画像検査や、必要に応じて行う血液検査、心電図検査などの結果も踏まえて総合的に診断します。

そのため、スクリーニングテストだけでは、認知症の診断はできません。

 

少しでも疑いがあれば専門家による診察を受ける

テストの結果に関係なく、少しでも認知症の疑いがある場合は、専門医による診察を受けることが大切です。

認知症診断は次の流れで実施します。

  1. 問診:認知能力や心の状態を把握するための質問を実施
  2. 身体検査:尿検査・血液検査・内分泌検査写真
  3. 画像検査:脳の萎縮や脳梗塞、脳腫瘍などを調べる
  4. 脳の働きを調べる検査:SPECT検査、PET検査
  5. 神経心理検査:認知症テスト

上記の検査結果を踏まえ、DSM-5やICD-10といった認知症の診断基準に基づいて診断されます。

 

認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせられる可能性のある病気とされています。

そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。

MCI段階で発見すれば進行を抑制できる

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

 

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。


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