認知症患者の預金引き出し、代理権ない親族も条件次第で可能に
一般社団法人全国銀行協会(以下、全銀協)は、2月18日に認知症患者の持つ預金の引き出しに関しての新しい指針を発表しました。
これまで銀行における預金引き出しでは、顧客の財産保護の観点から本人からの意思確認あるいは成年後見制度に基づいた代理取引を促していました。
一方で、代理取引では成年後見制度利用の為の費用負担や第三者への資産委託に対する抵抗感等を理由に制度利用者が極端に少なく、銀行の窓口業務における喫緊の課題となっています。
今回、全銀協は預金引き出しが本人の医療費や介護費支払い等の為のもので、本人の利益になることが明らかであることが確認できた場合に限って、柔軟に対応を行うように全国の銀行へ促していくと発表しました。
具体的には、診断書の提出や担当医からのヒアリング、あるいは複数の行員による本人との面談を通じて認知判断能力が失われていると判断され、かつ預金が医療費や介護施設入居費、生活費など本人のために使用されると確認できた場合に限定されてます。
一方で、今後もこうした判断能力が不十分な人の財産管理を親族や法律・福祉の専門家が代行できる「成年後見制度」の利用を促すことは基本方針として変わりないという点は改めて示しています。
人生100年時代を迎えた日本社会において、銀行業界全体としてこうした実務的な施策が展開されていくことはポジティブに捉えられるべきでしょう。
外部リンク▶︎全国銀行協会_ニュース_2月18日