AIが軽度認知障害から認知症への進行可能性を予測、成功率は最大88%
富士フィルム株式会社と国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターは、AI技術を用いて、軽度認知障害(MCI)患者が2年以内にアルツハイマー病へ進行するかどうかを最大88%の精度で予測することに成功したと発表しました。
同社はこの技術を利用し、新薬開発の臨床試験においてMCIから認知症に進行する可能性のある患者のみを高精度に選定することで治験の成功率向上を目指しているとのことです。
富士フィルムは同社が持つ高度な画像認識技術を活用し、脳のMRI画像データからアルツハイマー症の進行に特に関わりが大きいとされる部位を特定して、脳の微細な萎縮パターンを抽出しました。
この方法によって、限られたMCI患者データであっても、そこから得られる学習データで予測精度の高いAI技術を開発することに成功したと発表しています。
同AI技術を用いて予測を行った結果、外国人(北米)を中心としたMRIデータに対する予測成功率は88%、日本人のみのMRIデータを対象にして行った予測成功率は84%と、人種に関わらず、どちらも高い精度で認知症への進行を予測することが証明されました。
軽度認知症(MCI)の段階から将来の進行可能性を予測して早期に治療や生活習慣の改善を始めることができれば、認知機能を健常レベルまで回復させる可能性も高まるため、同技術は先進的な新薬開発だけに留まらず、将来的には健診でMRI検査を行うような一般市民へも活用の幅が広がっていくことも期待されます。
出典:富士フイルムと国立精神・神経医療研究センター AI技術を用いて軽度認知障害患者のアルツハイマー病への進行を最大88%の精度で予測 | 富士フイルム