アイスクリームやチョコレート、クッキーなどの甘いものは依存性が高いため、過剰摂取しやすいと考えられています。
甘いものは、幸せホルモンとされるセロトニンやドーパミンなどの生成を促し、一時的なストレスの軽減に効果があると考えられています。
しかし、甘い食べ物ばかり食べると、糖尿病だけでなく、認知症の発症リスクも高まる可能性があるとされていることをご存じでしょうか?
この記事では、認知症と甘いものの関係、そして認知症予防に有効とされているお菓子などについて解説します。
認知症とは
認知症とは、認知機能の低下により日常生活を送ることが困難になる病気の総称です。
例えば、身近な人や物の名前が思い出せなかったり、よく行く道に迷ったり、スケジュールの計画が難しくなるような症状が挙げられます。
認知症の種類は、アルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症、血管性認知症、アルコール性認知症などがあり、症状は種類によって異なります。
認知症の主な原因は高齢とされ、高血圧、脳震盪、心筋梗塞、うつ病、社会的孤立など、様々な要因が関連しているとされています。
しかし、認知症の原因はまだ完全には解明されておらず、根本的な治療法も存在しません。
そのため、一度発症すると病状が最期まで進行し続ける深刻な病気とされています。
甘いものと認知症の関係
甘い食べ物には糖分が多く含まれています。
そのため、過剰に摂取すると血糖値が上昇しやすくなります。
これは糖尿病だけでなく、認知症にかかるリスクも高まる可能性があるとされています。
なぜなら、血糖値が高すぎることは認知症の発症リスクを伴う要因の一つとされているからです。
高い血糖値は、アミロイドβ(認知症の発症要因の一つ)を脳内に異常蓄積させ、アルツハイマー型認知症を引き起こすリスクがあると考えられています。
また、甘いものを過剰に摂ることは、肥満を招きやすくなります。
肥満についても、認知症の発症リスクを上昇させる要因の一つと考えられています。
一方で、糖分が直接的に認知症の発症につながるかどうか、その因果関係については、一部の研究者たちによるとまだはっきりと解明されていないともされていることを付け添えさせていただきます。
出典:Sugar and Dementia: Separating Fact from Fiction
認知症になると甘いものばかり食べる?
ある文献によると、高齢の認知症患者は甘いものを過剰に摂取する傾向があることが指摘されています。
この現象の背景には、認知症の発症に伴う食欲の変化と判断力の低下が関係しているとされています。
認知症患者の中には、食欲が過度に増加し、特に甘いものに対する欲求が強くなることがあるとされています。
さらに、高齢者は味覚が鈍る一方で、認知症による判断力の低下も甘いものの過剰摂取に繋がる可能性があると考えられています。
認知症の予防に効果的とされるお菓子・フルーツ4選
認知症の予防に有効とされる甘いものは、栄養価が高く、かつ糖分が少ないものの選択が鍵とされています。
ここでは、特に効果的な4種類のお菓子・フルーツについてご紹介します。
① 糖分が少ない果物
果物の中でも、糖分が比較的少ないものを選ぶことが重要です。
特に、ストロベリーやブルーベリーなどのベリー類は、糖分が少なく抗酸化物質が豊富とされています。
これらの果物は、脳の老化を遅らせる効果が期待できるため、認知症予防に有効だと考えられています。
一方、マンゴーやバナナ、ぶどうは糖分が多めなので、摂取量に注意が必要です。
② 高カカオのチョコレート
高カカオチョコレートは、カカオ含有率が70%以上のものを指します。
この種のチョコレートは、フラボノイドという強力な抗酸化成分とポリフェノールが含まれています。
これらの健康成分が脳の健康をサポートし、認知症のリスクを減少させる可能性があるとされています。
出典:Dark chocolate: An overview of its biological activity, processing, and fortification approaches
③ ナッツ
ナッツは、糖質が低く、健康に良い脂質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
例えば、アーモンド、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、マカデミアナッツがあります。
これらのナッツは体内炎症を軽減し、記憶力や脳の健康を保つため、認知症予防に効果的と研究で示唆されています。
④ 全粒粉クラッカー
全粒粉クラッカーは、加工されていない穀物から作られ、ビタミンB群や食物繊維が豊富と言われています。
これらの栄養素は、脳の健康維持に寄与し、認知症予防に効果的とされています。
ただし、添加物や塩分の含有量に注意しながら選ぶことが重要です。
以上のフルーツ・お菓子は認知症予防に役立つ可能性がある一方、過剰な摂取は避けるべきです。
摂取量に関しては、世界保健機関(WHO)が指定している一日における糖分の最大摂取量小さじ5~10(約25~50g)を目安にすると良いでしょう。
出典:Guideline: sugars intake for adults and children
甘いものの食べ過ぎへの対処法
甘いものの過剰な摂取は、健康に様々なリスクをもたらすことが知られています。
特に、認知症の予防においては、糖質の摂取量を意識することが重要であるとされています。
以下に、甘いフルーツ・お菓子への依存を減らすための実用的な対処法を紹介します。
甘いものを控える
研究によると、糖質を多く含む食べ物を控えることで、甘いフルーツやお菓子への欲求が自然と軽減されるとされています。
空腹時には、野菜や肉など、糖質の少ない食べ物を選択するように心がけましょう。
これは、身体が必要とする栄養を適切に補給しつつ、無駄な糖質の摂取を防ぐことにつながります。
人工甘味料を避ける
人工甘味料は糖分が少ないため、健康的な代替品と誤解されることがあります。
しかし、これらの甘味料は味覚を鈍くする効果があり、結果的に甘いものをより多く食べたくなると考えられています。
したがって、甘いものへの渇望を減らすためには、人工甘味料の摂取も控えることが推奨されます。
甘いもの以外でストレスを解消する
多くの人が、ストレスを感じた時や、自分へのご褒美として甘いものに頼る傾向があるとされています。
しかし、甘いものに依存するのではなく、運動や瞑想、趣味など、より健康的なストレス解消法を見つけることが重要です。
これらの活動は心身の健康を促進し、認知症予防にも寄与するとされています。
甘いものの過剰摂取による長期的リスクを意識する
甘いものを過剰に摂取し続けると、以下の問題を引き起こす可能性があるとされています。
・体重を減らすことが困難になる
・病気のリスク増加(糖尿病、動脈硬化、肝臓病等)
・体内エネルギーが減少し、気分が沈みやすくなる
これらのリスクを意識することで、甘いものの摂取を控える動機づけになるのではないでしょうか。
まとめ
甘いものを控えることは認知症の予防だけでなく、ご自身の健康を長期的に保つことができる可能性が高まります。
認知症を効果的に予防するには、甘いものの制限を含めたバランスのとれた食事、運動習慣、脳の活性化、定期的な認知機能の検査が大切とされています。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせられる可能性のある病気とされています。
そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。
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MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。
一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。