認知症予防はいかに早い段階から対策を講じるかが重要だと言われています。
認知症を発症してしまうと認知機能を健康な状態まで回復させることは難しく、現状では症状の進行を遅らせることが主な治療方法となっています。
楽しく自立した生活を送るには、健康な時から自分自身の認知機能を継続的に把握することがとても大切です。
認知症の予防に努めたい方や認知症を心配される方は、認知機能のセルフチェックを始めてみましょう。
認知症の早期発見がなぜ重要なのか
認知症は、早期発見することである程度進行を食い止めたり、改善させたりすることが期待できます。
世界的に最も多い認知症であるアルツハイマー型認知症は、脳内にアミロイドβやタウと呼ばれるタンパク質が蓄積することで発生します。
これらが蓄積されるまでには10〜20年ほどかかると言われており、蓄積されている間に徐々に症状が現れてきます。
この初期症状が現れている段階で対策すれば、アミロイドβやタウの蓄積や認知症の進行を遅らせることが可能と考えられています。
早期発見のためには、認知症の初期段階である軽度認知障害(MCI)を見極める必要があります。軽度認知障害は、認知症を発症する前段階であり、いち早く対策することで認知症の発症を食い止めることが可能です。
認知症の早期発見のチェックポイント
公益社団法人の認知症の人と家族の会は、認知症早期発見のための20のチェックリストを公開しています。
チェック項目にいくつか当てはまる場合は、早期に近くの病院に相談するとよいでしょう。
- 今切ったばかりなのに、電話の相手の名前を忘れる
- 同じことを何度も言う・問う・する
- しまい忘れ置き忘れが増え、いつも探し物をしている
- 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う
- 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった
- 新しいことが覚えられない
- 話のつじつまが合わない
- テレビ番組の内容が理解できなくなった
- 約束の日時や場所を間違えるようになった
- 慣れた道でも迷うことがある
- 些細なことえで怒りっぽくなった
- 周りへの気づかいがなくなり頑固になった
- 自分の失敗を人のせいにする
- 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた
- ひとりになると怖がったり寂しがったりする
- 外出時、持ち物を何度も確かめる
- 「頭が変になった」と本人が訴える
- 下着を替えず、身だしなみを構わなくなった
- 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
- ふさぎ込んで何をするのも億劫がりいやがる
認知症を疑ったらどうする?
日頃から予防を心がけるためには、定期的に現在の状態を自ら把握すること、効果的な予防策を講じることが重要です。
その過程で少しでも懸念が生じた場合は、専門医を受診頂くことをおすすめします。
スクリーニング検査を受ける
スクリーニング検査とは、病気を早期発見する検査です。認知症は早期に治療を行うことで認知症の進行を遅らせることに繋がります。
早期発見後の治療
スクリーニング検査で認知症が判明した場合、さらに綿密な検査で進行度合いや脳内の状態を検査します。
診断には、CTやMRIを使った画像検査や血液検査、問診などが行われ、適切な治療方法が提案されます。
認知症と診断された場合、定期的に病院で診察を受け、継続的に治療を行う必要があります。
進行状態によっては介護も必要ですが、最近では認知症者の家族や親族の介護疲れが問題となっています。
長期にわたって対応が必要なため、1人ですべてを抱え込むのではなく、医者や行政、介護サービスを活用し、協力してケアすることが必要です。
認知症予防のポイント
認知症は早期発見だけでなく、予防も大切です。認知症予防で大切なのは、健康的な生活と社会やコミュニティへの参加です。
まず、健康的な生活では、適度な運動とバランスの良い食事を心がけましょう。運動は脳に刺激を与え、認知症の予防になると言われています。
公益財団法人長寿科学振興財団では、ウォーキングやストレッチなど無理のない運動を週2〜3回、30分以上することを推奨しています。
食事においても、魚や緑黄色野菜、豆類を積極的に取り入れ、間食や糖分を控え、栄養バランスがよい食事をこころがけましょう。
運動や食事だけでなく、社会活動に参加することも認知症予防につながります。厚生労働省の調査でも、スポーツやボランディア、趣味などで積極的に社会参加するほど認知症の発症のリスクが低いことが判明しています。
社会に参加し、多くの人とコミュニケーションをとることは脳への刺激だけでなく、人生を豊かにします。
適度な運動、バランスの良い食事、積極的な社会参加で認知症予防に努めましょう。
定期的・恒常的にチェックしましょう
認知症は、一度発症すると、長期的な治療が必要です。
長期にわたる治療は、認知症者本人だけでなく、介護をする家族にも精神的負担や経済的負担がかかります。
認知症のリスクを下げる健康的な生活を心がけるとともに、認知機能セルフチェックを活用し、現在における自身の状況を定期的に把握するのもよいでしょう。そして、認知症の懸念がある場合はすぐに医療機関の診断を受けにいきましょう。(専門医のいる病院リスト)
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。