レビー小体型認知症になると寝てばかり?よく寝る?原因や理由について解説

レビー小体型認知症は、認知症の一種で、アルツハイマー病に次いで二番目に多いとされている認知症です。

レビー小体型認知症は、脳内に特徴的な異常タンパク質であるレビー小体が蓄積することによって発症するとされています。

 

この病気は、認知機能の低下運動機能の障害精神症状など、さまざまな症状を引き起こすとされています。

 

特に、レビー小体型認知症の患者は、睡眠時間が長くなる傾向がありますが、その原因や理由は十分に理解されていません。

本記事では、レビー小体型認知症によってなぜよく寝るようになり、睡眠時間が増えるのか、その原因や影響、対処法などについて詳しく解説していきます。

 

 

 

寝てばかり(よく寝る)になる原因1:神経伝達物質の不調

レビー小体型認知症では、神経伝達物質の不調が睡眠の質や量に影響を与えることがあります。

神経伝達物質は、脳内で情報伝達を担う化学物質で、神経細胞間のコミュニケーションを円滑にする役割があります。

ドパミン・セロトニン・ノルアドレナリンの役割

主要な神経伝達物質にはドパミン、セロトニン、ノルアドレナリンがあり、それぞれ異なる機能を持っています。

 

ドパミン:報酬系や運動制御に関与し、興奮や快感を感じることができます。

セロトニン:情緒や気分を安定させ、リラックス効果があります。

ノルアドレナリン:覚醒や注意力、ストレスに対する反応を調整します。

 

レビー小体型認知症における神経伝達物質の変化

レビー小体型認知症では、これらの神経伝達物質が不足することが一部の症状に関与しているといわれています。

 

具体的には、ドパミンの不足が運動機能の低下や筋肉の硬直を引き起こし、セロトニンやノルアドレナリンの不足が情緒不安定や抑うつ症状を誘発することがあります。

 

神経伝達物質の不調は、レビー小体型認知症患者が過度に眠る原因の一つです。

情緒の不安定さや抑うつ症状が強くなると、眠ることで一時的に安心感を得ようとする傾向があります。

 

また、運動機能の低下や筋肉の硬直により、患者は活動的になれず、寝たきり状態に陥ることもあります。

 

寝てばかり(よく寝る)になる原因2:睡眠障害

レビー小体型認知症患者は、睡眠障害を経験することがよくあるとされています。

睡眠障害は、患者の日中の眠気や活動量に影響を与えるため、寝てばかりになる原因となります。

レム睡眠行動障害(RBD)とは

レム睡眠行動障害(Rapid Eye Movement sleep Behavior Disorder, RBD)は、レビー小体型認知症患者に特に多く見られる睡眠障害です。

 

通常、レム睡眠中は筋肉が弛緩し、夢を見ても体は動かない状態になります。

しかし、RBDでは筋肉の弛緩が不十分で、夢に反応して体を動かしたり、叫んだりすることがあります。

 

その結果、睡眠の質が低下し、日中に眠気が残ります。

 

睡眠障害がもたらす昼間の眠気

睡眠障害により、患者は夜間に十分な休息を得られなくなるため、昼間に過度の眠気を感じることがあります。

 

また、睡眠不足や質の低下は、認知機能や情緒の安定性にも影響を与え、患者が寝てばかりになる状況を悪化させる可能性があります。

 

このような状況を改善するために、医師や専門家と連携して、適切な治療法や睡眠環境の整備を行うことが重要です。

 

睡眠障害の原因を特定し、適切な対策を講じることで、患者の日中の眠気や活動量を改善することが期待できます。

 

寝てばかり(よく寝る)になる原因3:精神的・情緒的要因

レビー小体型認知症患者の睡眠傾向には、精神的・情緒的要因も大きく影響しています。

 

病状が進行することで生じる不安やストレス、抑うつ症状などが、患者が過度に眠る原因ともなり得ます。

抑うつ症状と睡眠の関係

レビー小体型認知症患者は、抑うつ症状を呈することがよくあるとされています。

 

抑うつ症状があると、患者は慢性的な疲労やエネルギー喪失を感じることがあり、それが過度の睡眠につながります。

 

また、患者は寝ることで一時的に不安やストレスを忘れることができるため、寝る時間が増えることがあります。

 

不安やストレスが引き起こす過眠症状

レビー小体型認知症患者は、病状が進行することで自身の能力の低下や周囲への迷惑を感じることがあり、不安やストレスが増大するといわれています。

 

このような精神的な負担が高まると、患者は過眠症状を示すことがあります。

不安やストレスが原因の過眠は、心身をリセットするための自然な反応であることが考えられます。

 

対策としては、精神的・情緒的なサポートが重要であり、医師や専門家と連携して、適切な薬物療法や心理療法を導入し、患者の抑うつ症状や不安を緩和することが効果的であるといわれています。

 

また、家族や友人からのサポートや理解も、患者の精神的な安定に大きく貢献するとされています。

 

レビー小体型認知症患者の睡眠改善策

睡眠の質や量に影響を与えるレビー小体型認知症の症状を改善するために、以下のような睡眠改善策が効果的とされています。

 

 

適切な治療法・薬物療法の導入

医師と相談し、適切な治療法や薬物療法を選択することが重要です。

 

レビー小体型認知症の症状によっては、抗パーキンソン病薬抗うつ薬抗不安薬などが処方されることがあります。

 

これらの薬物は、神経伝達物質のバランスを改善し、情緒の安定や睡眠の質を向上させる効果があります。

 

睡眠環境の整備とリズム作り

睡眠環境を整えることも、睡眠の質を向上させるために重要です。

以下のポイントに注意して、快適な睡眠環境を整えましょう。

 

・部屋を暗くし、静かで適切な温度を保つ

・寝具やマットレスを快適なものにする

・適度な運動を行い、ストレスを解消する

・カフェインやアルコールの摂取を控える

 

また、規則正しい生活リズムを作ることで、体内時計が整い、睡眠の質が向上します。

特に、就寝時間と起床時間を一定に保ち、夜間の長時間睡眠と昼間の短時間の仮眠を適切にバランスさせることが望ましいです。

 

レビー小体型認知症患者の睡眠改善策は、症状や個々の状況に応じてカスタマイズすることが重要であるとされています。

医師や専門家と連携し、患者に最適な治療法や生活習慣の改善策を見つけ出すことが大切です。

 

レビー小体型認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

レビー小体型認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせられる可能性のある病気とされています。

また、患者や家族の生活の質を維持するための適切なケアが提供できます。

 

そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。

MCI段階で発見すれば進行を抑制できる

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

 

 

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。

 

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