レビー小体型認知症の初期症状と経過
レビー小体型認知症(LBD)は、徐々に進行する神経変性疾患で、アルツハイマー病とパーキンソン病の特徴を併せ持つ状態です。
症状の進行は個人差が大きいため、一概には言い切れませんが、以下のような典型的な進行パターンがあります。
初期症状
認知機能の低下、幻視幻覚、運動機能の変化(パーキンソン病に似た症状)、睡眠障害、精神的な変化(うつ病や不安など)が現れるとされています。
認知機能の低下
レビー小体型認知症患者は、記憶、注意力、判断力などの認知機能が低下します。
認知機能の低下は徐々に進行し、患者の自立性が失われることもあります。
しかし、レビー小体型認知症は他の認知症に比べて、記憶障害が軽度で、意識障害も日にちや時間帯によって差があるため、見落とされやすいことが多いとも言われています。
幻視・幻覚
幻視・幻覚は、レビー小体型認知症の典型的な症状のひとつで、患者は存在しない人や動物、物体を見ることがあるとされています。
これらの幻覚は非常にリアルで、患者に不安や恐怖を与えることがあるようです。
運動機能障害
レビー小体型認知症患者は、パーキンソン病と類似した運動機能の障害を呈することがあるとも言われています。
これには、手足の震え、筋肉の硬直、歩行障害、バランスの喪失などが含まれます。
これらの運動障害は、患者の日常生活や自立性に大きな影響を与えることがあります。
睡眠障害
レビー小体型認知症患者は、睡眠障害を抱えることが一般的です。
特に、レム睡眠時行動障害(RBD)と呼ばれる状態が多く見られます。
RBDは、患者が夢を見ている最中に身体を動かしてしまう現象で、患者自身や周囲の人に危害を与えることがあります。
また、昼夜逆転や不規則な睡眠パターンも、レビー小体型認知症の症状として報告されています。
中期症状
認知症状が進行し、日常生活やコミュニケーションが困難になります。
運動機能の問題は悪化し、歩行困難やバランスの喪失が現れます。
さらに、幻覚や錯覚が増加し、混乱や不安が悪化します。
後期症状
認知機能の低下がさらに進行し、言語能力や認識能力が大幅に低下します。
運動機能の障害はさらに悪化し、自力での移動が困難になるとされています。
また、誤嚥や栄養失調のリスクが高まり、感染症や他の合併症が発生しやすくなります。
進行速度は個々の状況によって異なりますが、レビー小体型認知症は徐々に悪化する性質があり、平均的な患者の寿命は診断後約5-8年とされています。
ただし、早期発見と適切なケアによって、症状の進行を遅らせることができる場合もあります。
レビー小体型認知症の進行速度
レビー小体型認知症(LBD)の進行速度は、個人差があり一概には言い切れないようです。
しかし、一般的には、レビー小体型認知症は徐々に進行する神経変性疾患であり、症状が悪化するにつれて一部機能の低下が生じるとされています。
平均罹病期間は約7年とされており、中期以降に進行速度が早くなるという特徴があるようです。
ただし、個々の状況や遺伝的要因、既存の健康状態、適切な治療やケアを受けるかどうかなどによって、その進行速度は異なりとされています。
初期症状チェックリスト
まず、最近のご自身の状態と以下の各項目を照らし合わせてみてください。
・もの忘れがある
・頭がはっきりしているときと、そうでないときの差が激しい
・実際にはないはずのものが見える (幻視)
・妄想が見られる
・気分が強く落ち込み憂うつになる、やる気が出ない(うつ的)
・動作が緩慢になった
・筋肉がこわばる
・小股で歩く
・睡眠時に異常な言動をとる
・転倒や失神を繰り返す
いくつ当てはまったでしょうか?
上記の各項目の5個以上に当てはまった方は、一度、お近くの専門医療機関もしくはかかりつけ医へ受診されることをおすすめします。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせることが可能である病気とされています。
そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。