MCI(軽度認知障害)とは?定義や検査方法について紹介します

 

皆さんは認知症の前兆である「MCI」をご存じでしょうか?

 

高齢化による認知症の有病者増加の懸念からMCI(エムシーアイ)という言葉が紹介され始めましたが、この言葉を正しく理解している人はまだ少ないようです。

 

MCIとは英語の「Mild Congnitive Impairment」の頭文字を取ったもので、日本語では「軽度認知障害」と呼ばれています。

 

この記事では、MCIの定義や有病者数、対策などについて詳しく解説します。

 

 

MCI(軽度認知障害)の定義とは?認知症の一歩手前?

MCI(軽度認知障害)は一般的には認知症と診断される一歩手前の状態だと言われています。

 

具体的には、例えば、もの忘れのような記憶障害が一部出ているものの症状はまだ軽く、自立した生活ができている状態です。

 

米国の国立老化研究所およびアルツハイマー協会による軽度認知障害の定義

米国の国立老化研究所およびアルツハイマー協会が2011年に発表した「アルツハイマー型認知症におけるMCI」の定義が一般的には有名です。

 

<アルツハイマー型認知症におけるMCIの定義>

  • 認知機能の低下を本人や周りの家族が訴えている
  • 1つ以上の認知機能(見当識や記憶、言語理解等)の障害が客観的に認められる
  • 日常生活は問題なくできている
  • 認知症とはいえない

 

厚生労働省による軽度認知障害の定義

日本では、厚生労働省が軽度認知障害について、「物忘れが主たる症状だが、日常生活への影響はほとんどなく、認知症とは診断できない状態。」と定義しています。

 

また、軽度認知障害は正常と認知症の中間ともいえる状態であり、その定義は、下記の通りとしています。

  1. 年齢や教育レベルの影響のみでは説明できない記憶障害が存在する。
  2. 本人または家族による物忘れの訴えがある。
  3. 全般的な認知機能は正常範囲である。
  4. 日常生活動作は自立している。
  5. 認知症ではない。

 

MCIの有病者数はどれくらい?

厚労省の調査では、高齢者のMCI有病者数は2012年時点で400万人と推定され、認知症患者468万人も含めると高齢者の4人に1人という割合です。

 

同調査では将来的な試算として、MCI・認知症ともに有病数が増えていき、2025年には認知症患者が700万人MCIも含めると合計約1300万人(高齢者の3人に1人)にもなると予想されており、すでに他人事ではない状況にあることが分かります。

※厚生労働省『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究(平成26年)』をもとに当社が独自に作成

 

 

MCI段階では目に見える症状が少ないからこそ、正しい知識を持っていないと家族や自分自身でさえもあまり深く考えなかったり、見過ごしてしまう場合があります。

 

本人の言動の変化が顕著となり、日々の生活でも家族のサポートが必要になった頃にようやく病院へ連れて行くと、認知症を既に発症していたというケースは見受けられます。

 

MCIかなと思ったら

「最近もの忘れが多くなってきたな」と感じていて、病院でMCIについて検査してもらいたい。

でも、「何科に行けばいいのか分からない」「そもそも病院に行くべきなのか」という風に悩んでいる方も多いのではないのでしょうか?

 

もの忘れや認知症で受診する場合、「もの忘れ外来」「メモリークリニック」といった専門の医療機関に加え、神経内科精神科心療内科脳外科で診察を受けることが可能です。

 

また、家の近くにそういった専門の医療機関がない・ハードルが高くて行きづらいという場合は、普段受診しているかかりつけ医をおすすめします。

ご自身の状態をよく知ってらっしゃるかかりつけ医であれば、安心して診察を受けることができ、必要であれば専門の医療機関へ紹介してもらうことができます。

 

 

MCIは早い段階で適切な処置・対応を行うことで、認知症への進行を遅らせたり、健常な状態への回復も見込むことができます。

そのため、少しでも認知症・MCIの疑いを感じたら、専門の医療機関もしくはかかりつけ医を受診しましょう。

 

認知症診断は何科で受診すべき?そもそも病院に行くべき?事前準備や検査方法に加えて費用まで解説

WHOが推奨する12の対策

MCIから認知症へ進行しないための対策として、世界保健機関(WHO)から『認知機能低下および認知症のリスク低減』のためのガイドラインが公表されています。

 

出典元:令和元年度 厚生労働省老人保健健康増進等事業 「海外認知症予防ガイドラインの整理に関する調査研究事業」 WHO ガイドライン『認知機能低下および認知症のリスク低減』 邦訳検討委員会

 

ガイドラインでは、以下の対策すべき12の項目が示されており、基本的な生活習慣の改善などが推奨されています。

 

  1. 身体活動(運動)
  2. 禁煙
  3. 栄養バランスの管理
  4. アルコール使用障害の管理
  5. 認知面への刺激
  6. 社会活動
  7. 体重管理
  8. 高血圧の管理
  9. 糖尿病の管理
  10. 脂質異常症の管理
  11. うつ病への対応
  12. 難聴の管理

 

いずれの項目も、普段の暮らしの中で、すぐにでも取り組めるものが多く含まれています。

このガイドラインとご自身の日常生活を照らし合わせて、今のご自身の状態を確認してみてはいかがでしょうか?

 

また、『認知機能低下および認知症のリスク低減』のためのガイドラインに関する詳細は以下の記事をご覧ください。

WHO認知症予防ガイドラインとは。 認知症予防に役立つ情報をまとめて解説

 

MCIの早期発見による認知症予防

ある研究報告ではMCIの状態を1年放置すると、その中の約10%の方々が認知症へと進行すると報告されています。

 

一方で、MCI段階で適切な治療や予防活動をすることで、14~44%の方が健常な状態まで回復したり、発症が遅延したりすることがあります。

認知症は一部のケースを除いて現在の医療では完治させることはできませんが、MCIを正しく知り、MCIの段階で早期発見に務めることが予防において何より大事なのです。

 

『認知機能セルフチェッカー』は「自分ひとりで、早く、簡単に」をコンセプトに認知機能低下のリスク評価ができるヘルスケアサービスです。40代以上の健康な方たちを対象に、これまでにない新しい認知機能検査サービスを提供しています。お近くの医療機関でぜひご体験ください。

-軽度認知障害(MCI)

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