高齢者の認知症テストは絵を用いてできる?高齢者講習のイラスト認知機能検査についても解説

「認知症かな?と思うことが増えてきて、認知症かどうかのテストを自宅で簡単にできないものか」と考えている方が多いのではないでしょうか。

 

この記事では、絵を用いて簡単に認知機能を測定できるテストを紹介します。

加えて、免許更新の際に受講する高齢者講習のイラストを用いた認知機能検査についても解説します。

認知機能の低下を早期発見して適切な対処ができるように、ぜひ参考にしてください。

 

 

アイキャッチ

 

認知症の簡易チェックは絵や数字を用いた検査で可能

絵や数字を用いたテストを実施することで、認知機能が低下しているかどうかを簡易的にチェックできます。

絵を覚えて質問に答える問題や、数字を用いた計算等で、簡単に認知機能を評価できるものが多いです。

 

簡易的に実施できることから、自宅にいながらも認知機能低下を察知できますので、認知症の早期発見につなげることができます。

 

絵を使って自宅でできる認知症テスト

ここからは、認知機能を評価できるテストを具体的に紹介します。まずは、絵を使ってできるテストをご紹介します。

認知症予防協会の認知症自己診断テスト

認知症予防協会の認知症自己診断テストでは、最初に複数動物の絵が表示され、その絵柄を覚えた状態で問題に答えていくテストです。計算をしたり、図形の問題に答えたり、様々な問題が出されます。

 

そして最後に、冒頭で覚えた絵についての問題に答える内容になっています。自宅で誰でも簡単にできるテストで、10分程度で完了できるテストです。

一般社団法人 認知症予防協会の認知症自己診断テスト

時計描画テスト

時計描画テストは、指定された時間を時計で描くというシンプルなテストです。

時計の絵を描くことで、視空間構成能力だけでなく、数字や抽象概念などの「言語理解能力」と「言語的記憶」をチェックできます。被験者にとって簡単で、抵抗が少ないことも特徴です。

 

手がかり再生

手がかり再生とは、4種類のイラストが描かれたボードが4枚提示され、検査員の説明を受けながら記憶をして、その記憶を元に質問にこたえられるかどうかのテストです。

 

その際、検査員からの質問の前に「介入問題」と呼ばれる、最初に記憶したイラストとは全く関係のない簡単なテストを行います。その後に、先ほどのイラストに対して質問をしていきます。被験者の記憶力や判断力を試すテストになっています。

 

図形や数字を用いた認知症テストもある

絵を使った認知症テストの他には、図形や数字を用いたものもあります。

例えば、立方体を模写する図形問題や、100から順に7を引いてくださいというような数字を使った問題があります。

 

代表的な認知機能測定テストである長谷川式認知症スケールでは、「私がこれから言う数字を逆から言ってください。」「今日は何年の何月何日ですか?」「これから5つの品物を見せます。それを隠しますので、何があったか教えてください」など、幅広い問題で認知機能を評価します。

 

高齢者講習の認知機能検査とは

認知機能検査とは75歳以上のドライバーが運転免許を更新する際に受講しなければならない検査です。

 

検査の具体的な項目は以下の2つです。

 

  • 時間見当識
  • 手がかり再生

 

認知機能検査は、検査員の説明を受け、受験者自身で紙に記入、もしくはタブレットに入力します。

 

検査結果は、「認知症のおそれがある方」又は「認知症のおそれがない方」のどちらかで判定されます。

この検査結果で「認知症のおそれがある方」と判断された方は、再度臨時検査を行うか、病院で医師の診断を受ける必要があります。

最終的に認知症と診断された場合は、聴聞等の手続を経た上で免許の取消し又は効力の停止を受けることとなります。

参照:警察庁Webサイト『認知機能検査について』

 

「テストの出来が悪い=認知症」ではない

ここまで紹介した簡易テストの点数が悪いかったとしても、それだけをもって認知症だと判断できるわけではありません。

認知症の診断には、医師による診察と精密な検査が必要です。

簡易テストはあくまでも認知機能のスクリーニング測定ができるだけであり、認知症の疑いに気付くきっかけでしかありません。

 

テストの結果が悪いからといって認知症であると決めつけるのではなく、少しでも疑いや不安がある場合には、専門医に相談するようにしましょう。

認知症対策には早期発見が重要

認知症の恐ろしさは、早期に対策をしなければ気付かないうちに進行していくことにあります。

ここでは、早期発見が重要な理由と、おすすめの認知機能測定方法について解説します。

MCI段階なら認知症の進行を抑制できる

認知症と健常者の中間の状態であるMCI(軽度認知障害)の状態で適切な措置を講じれば、約3割の方が認知機能を健常な状態まで回復できるという報告もあります。

一方で、そのままMCIの状態を放置すると、約1割の方が1年以内に認知症の発症に至ると言われています。そのため、認知機能の低下が心配な場合には、なるべく早く専門の医療機関を受診することが大切です。

 

認知症は、周りの家族でさえも初期段階で気づくことがとても難しい病気です。そのため、現在特に問題がなくても、定期的に認知機能の状態をチェックし、認知機能の小さな変化に気づける環境を整えておくことは重要です。

 

少しでも疑いがあれば早めに診断を受ける

認知機能セルフチェッカー等で認知機能測定をして満足するのではなく、少しでも認知機能の低下が心配されるのであれば、なるべく早めに専門医による診断を受けることが重要です。

ここでは、認知症診断までの流れと診断された後の対応まで解説します。

認知症診断までの流れ

認知症と診断されるまでは、以下のような流れで進みます。

 

  • 医療機関で診察をうける
  • 検査を受ける
  • 診断基準に基づいて医師が診断

 

まず、かかりつけ医や専門医に相談し、診察を受けます。診察では、認知症の疑いがある本人の日頃の様子を聞かれますので、気になることは細かくメモしておきましょう。

 

続いて、認知症かどうかをチェックするための検査を受けます。検査は、上述の長谷川式認知症スケールのような簡単な質問に答えるだけでチェックする「神経心理学検査」」と、CTやMRIなど脳の細かい機能をチェックする脳画像検査を実施します。

そして、診察と検査の結果を踏まえ、定められている診断基準に基づいて診断結果を伝えられます。

 

認知症と診断されたらどうする?

いざ認知症と診断された場合には、誰しもショックを受けますし、同様は隠せないところでしょう。そこで慌てるのではなく、まずは専門医の指示をきちんと守って行動することが大切です。

 

また、介護保険サービスの利用を含めて、今後の方針について家族と話し合うことも重要です。お金周りの管理はどうするのか、成年後見制度はどうするのかなど、きちんと整理しておくことをおすすめします。

 

認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせられる可能性のある病気とされています。

 

そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。

MCI段階で発見すれば進行を抑制できる

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

 

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。

 

認知機能検査を実施しているお近くの医療機関は、「認知機能セルフチェッカー」を導入している医療機関リストからお探しください。

 

※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。

『認知機能セルフチェッカー』は「自分ひとりで、早く、簡単に」をコンセプトに認知機能低下のリスク評価ができるヘルスケアサービスです。40代以上の健康な方たちを対象に、これまでにない新しい認知機能検査サービスを提供しています。お近くの医療機関でぜひご体験ください。

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