仕事や子育てを終え、何が生きがいかわからなくなってしまっている高齢者の方もいるのではないでしょうか?
この記事では、なぜ生きがいを持つことが認知症の予防につながるのか、また、生きがいの定義や生きがいの持ち方について解説します。
「生きがい」という言葉の意味
広辞苑によれば、生きがいの定義とは「生きていてよかったと思えること」とされています。
生きがいは人生においての意味や価値を持たせるものを指すと考えられています。
どんなことに生きがいを感じることができるかは人によって異なります。
例えば、家族やコミュニティに生きがいを感じる人もいれば、仕事や趣味に生きがいを感じる人もいるでしょう。
生きがいが認知症を予防する
生きがいが認知症を予防することがは最近の研究で明らかになってきています。
生きがいの有無と認知症のかかりやすさの関係を調べたある研究によると、生きがいを持って生活している人は生きがいを持っていない人に比べてアルツハイマー型認知症を発症するリスクが約2.4倍、MCIを発症するリスクが約1.5倍少ないという結果が報告されています。
生きがいが認知症の進行を遅らせる
生きがいには認知症を予防する効果だけでなく、認知症の進行を遅らせる効果もあると言われています。
また生きがいを持っている認知症患者の病状進行が緩やかになったという研究結果もあります。
尚、研究の中で生きがいは人生の目的という言葉で表されており、人生の目標を高く持つ認知症患者は、人生の目標を持たない認知症患者と比べて認知機能の低下速度がかなり緩やかになるとの報告もされています。
現時点においては、認知症を根本的に治療する方法は確立されておりませんが、生きがいを持つことがで認知症の進行を遅らせることに寄与したという報告はされています。
生きがいの見つけ方を紹介
高齢者になると学校生活や仕事、友達や家族などのコミュニティを持つ若い人に比べて生きがいを持つことが難しくなると言われています。
『平成29年度高齢者の健康に関する調査』によると、生きがいを十分感じていると回答した高齢者は全体の42.1%とのことです。では、生きがいを見つけるにはどうしたら良いのでしょうか。
趣味を見つける
新しい趣味を見つける見つけることで得られる効果はたくさんあります。
同じ趣味を持つコミュニティとつながることができ、外出する機会が増えるなど、共通の趣味を通して人と交流する機会が増加することは、脳の活性化に繋がると言われています。
趣味を楽しむなかで「◯◯を達成したい」など目的意識を持って生活を送ることができることは、認知症の予防や進行速度の低下に繋がると言われています。
ここでは趣味の例をいくつか紹介します。
散歩に出かける
天気の良い日には散歩に出かけるのを習慣にしてみてはいかがでしょうか。
適度な運動は自律神経を整え、体の健康を保つと言われています。
また日光を浴びることで幸せホルモンといわれるセロトニンが分泌されるので日常生活での幸せをより感じやすくなるともいわれています。
ボランティア活動に参加する
ボランティアといっても地域の交通安全を守るボランティア、清掃活動のボランティア、スポーツ大会のお手伝いなど多種多様なボランティア活動があります。
ボランティア活動に参加することで地域との繋がりを感じることや、地域貢献を通じて充実感を感じられることは、いきいきととした日常生活に繋がるといわれています。
人と交流する機会を増やす
生きがいを見つけるために重要なことの一つに人との交流機会を増やすことがあります。
誰かと繋がっているという認識は生きがいを感じる機会を増加させることに繋がります。実際に人との会話は脳を活性化し、幸福感をもたらすといわれています。
認知機能の低下を防止するためにも、人と接する時間を意図的に作ることをお勧めします。
認知症の人との接し方も重要
認知症の患者自身が積極的に生きがいを見つけようとすることも大切ですが、その周辺の方々がどうのように接するかということも重要です。
認知症を患っている方として特別に接するのではなく、その人の個性や特性を尊重した環境作りを意識し、共に趣味を探したたり、一緒に楽しんだりすることも重要であるといわれています。
生きがいをもって認知症を予防しましょう
趣味に没頭する時間や誰かと話す時間は、人生がより充実したものとして感じられる機会を増加させ、生きがいを持つこと、感じることに繋がります。
結果的にそれが脳を活性化させ、認知症予防にも寄与する可能性があるといわれています。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせられる病気です。
そして、早期発見には定期的に認知機能をチェックすることが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。
【出典】