最近、瞑想という言葉を見聞きすることが増えた人も多いのではないでしょうか?
瞑想とは雑念を取り除き、今に集中する方法のことでマインドフルネスとも呼ばれます。
瞑想の効果としては、ストレス軽減や集中力の向上、ポジティブな思考などが有名ですが、実はそれだけではありません。
ある研究によると、瞑想を継続的に行うことで認知症の予防としての効果も発揮すると言われています。
ここでは瞑想と認知症の関係、瞑想のやり方について解説します。
認知症予防としての瞑想
ある研究によると、瞑想は脳の構造を変化させ、認知機能の低下を予防する効果があるそうです。
認知障害を持つ人が瞑想を2年間続けたところ、認知機能の低下が抑制されたという効果を発表しています。
また脳の一部に電気刺激を与えて、神経の柔らかさを取り戻す治療方法が認知機能の回復に一部効果的であることが示唆されていますが、瞑想も同じように、脳が元々持つ「変化する力」を促進します。
電気刺激による治療方法は抵抗があるように感じてしまいますが、瞑想は今日からでも簡単に取り入れることができるのではないでしょうか。
認知症の治療法は未だ明確に解明されておらず、進行を遅らせる措置を講じることが一般的ですが、最近の研究から瞑想が認知症を予防する効果を持つことが期待されています。
瞑想の効果を得られるのは健常者だけではありません。軽度の認知障害やアルツハイマーを持つ人を対象にした研究でも瞑想が脳の構造を変化させることが報告されています。
瞑想のやり方
認知症の予防や治療にかかる時間、費用は莫大であるといわれていますが、瞑想を始めるのに必要なものは限定されています。
やり方を知ってさえいれば場所や時間を問わずに取り組むことができるため、年齢に関わらず、始めやすいのではないでしょうか。
やり方を学び、日々の生活に取り入れてみることをお勧めします。
ここでは瞑想のやり方を紹介します。
瞑想の基本
瞑想では、リラックスした状態で、今に気持ちを集中させます。
今に集中する力をつけることで過去や未来に対する不安や後悔といった気持ちに囚われることがないようにします。
<呼吸に集中する瞑想>
- 地面にあぐらをかいたり椅子に座ったりして、リラックスできる体勢を取ります。
- 背筋は伸ばし、自分がリラックスできる場所に手を置きます。
- 目を閉じて、鼻から吸って鼻から吐く呼吸を繰り返します。この時、息の速さや強さ、息が通る感覚など、全意識を呼吸に向けるようにします。
- 途中で雑念が浮かんできたら、その事実を受け止め、すぐに意識を呼吸に戻します。
これを10~30分ほど続けてください。
1日だけでなく、毎日なるべく長い期間、継続して瞑想を行うことでより大きな効果が期待できるそうです。
<POINT>
雑念が浮かんでくるのは通常のことなので、無理に意識を戻そうとしなくて大丈夫です。
瞑想をしながら1つ1つの呼吸を「1.2.3…」のようにカウントするのも有効です。
また、YouTubeに瞑想用の動画や音楽がたくさんあるので調べてみるのも良いかもしれません。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせられる病気です。
そして、早期発見には定期的に認知機能をチェックすることが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。
【出典】
Mindfulness in the Maintenance of Cognitive Capacities in Alzheimer’s Disease : A Randomized Clinical Trail