本を読むことは認知症予防に有用だと言われています。なぜ読書が認知症予防につながるのか、どのような本がおすすめなのかについて解説します。また、脳のトレーニングに使える本や、認知症予防に関するベストセラー本も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
認知症予防に本を読むことは効果的?
身体を動かすウォーキングや多くの人々と関わるボランティア活動、脳を鍛える脳トレなど、認知症予防に良いと言われる事柄は多いです。では、「読書」はどうなのでしょうか。本を読むことで認知症予防の効果を期待できるのか見ていきましょう。
記憶力や集中力を高める効果を期待できる
すでに書いてあることを読むだけの行為でも、脳は活発に働いています。文字を見て、読解力を働かせ、集中力や記憶力も高めます。また、本に記載されている内容を頭の中で思い浮かべることは、実際に経験することに匹敵するほど五感を刺激することもあると言われています。
本を読むことで、心が満たされ、孤独を感じにくくなることもあるでしょう。つまり、読書によって認知症予防への効果と、精神的な充足感を得る効果を期待することができるのです。
認知症予防の脳トレーニング本も多い
五感を刺激することができる小説やエッセイなども良いですが、「実用書」にも目を向けてみましょう。最近、認知症予防を謳った脳トレ本が人気を集めています。書店によっては脳トレ本ばかりを集めたコーナーもあるでしょう。
脳トレ本では、クイズや計算、漢字、クロスワードなどのさまざまな種類の問題が紹介され、読者のペースで挑戦できるようになっています。思考力や記憶力、計算力などを高めて、脳を刺激する効果を期待できるでしょう。
認知症予防についての知識を得られる本もある
認知症は、多くの方にとって関心の高い話題です。KUMONが20歳~69歳の男女1,000人を対象に2016年に実施した「認知症に関する意識や実態調査」によりますと、認知症を知っているという方は98.5%、関心を持っている方は79.0%にも上りました。
認知症や認知症予防について書かれた実用書の人気も高く、数十万部以上販売されてベストセラーになった本も少なくありません。医療や介護に携わる専門家が書いた本も多く、知識や気付きを得られることもあります。
認知症予防におすすめの脳トレ本5冊
脳トレの効果を高めるためにも、毎日少しずつでも続けることが大切です。脳を活性化する効果を期待できる脳トレ本を5冊紹介するので、ぜひ飽きずに続けられそうなものをお選びください。時間があれば書店などで実際に本を手に取り、フィーリングが合いそうな1冊を選んでみてはいかがでしょうか。
脳を鍛えて、記憶力がよくなる! パズルで脳トレ 大人のドリル
簡単すぎる問題ばかりでは、脳を刺激するには物足りない感じがします。しかし、難しすぎる問題ばかりでも、やる気がなくなり、途中で投げ出してしまうかもしれません。
「脳を鍛えて、記憶力がよくなる! パズルで脳トレ 大人のドリル」は、易しすぎず難しすぎない絶妙な難易度の問題が集められている脳トレ本です。ナンプレや漢字パズル、クロスワードなど問題の種類もバラエティに富んでおり、飽きずに続けることができるでしょう。
脳を鍛えて、記憶力がよくなる! パズルで脳トレ 大人のドリル
30日で脳がみるみる若返る! 1日5分 朝の脳トレ習慣
毎日忙しく、あまり脳トレに時間を取れないという方には、「30日で脳がみるみる若返る! 1日5分 朝の脳トレ習慣」はいかがでしょうか。ワーキングメモリと想起力、空間認知力、集中力の4つに着目した問題を集めています。
1日わずか2問、所要時間は5分なので、忙しい方でも無理なく脳トレを続けられます。チャレンジパズルも用意されているので、普段よりも難しい問題に挑戦したいときにも楽しめます。
もの忘れ・認知症を防ぐ! 脳活ドリル 1日1ページ100日間
1日1ページだけの「もの忘れ・認知症を防ぐ! 脳活ドリル 1日1ページ100日間」も、忙しい方でも始めやすい脳トレ本です。
ことわざや懐かしい言葉でつづるクロスワードなど、記憶力にも働きかける問題が100日分掲載されています。解説付きなので、問題を解いてからも楽しめます。
もの忘れ・認知症を防ぐ! 脳活ドリル 1日1ページ100日間
川島隆太教授の30日で記憶力が一気によくなる! 大人のいきいき脳ドリル
脳トレ界で有名な東北大学の川島隆太教授の「川島隆太教授の30日で記憶力が一気によくなる! 大人のいきいき脳ドリル」は、記憶力に注目した脳トレ本です。
最近、新しい名前や用語などを覚えにくくなったと実感している方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。1日10分続けるだけで、改善効果を期待できます。
川島隆太教授の30日で記憶力が一気によくなる! 大人のいきいき脳ドリル
物忘れを防ぐ! もっと昭和レトロな間違い探し
クロスワードやナンプレなどの問題を解くタイプのパズルは苦手という方は、「物忘れを防ぐ! もっと昭和レトロな間違い探し」が合っているかもしれません。間違い探しだけを集めた脳トレ本なので、絵を見るだけで脳に刺激を与えることができます。
また、昭和時代に使われていた道具などが描かれているため、昔を思い出すきっかけになり、記憶力の刺激効果も期待できます。
脳トレ以外にも認知症予防につながる本は多い
表紙や帯に「脳トレ」「認知症予防」と記載されていなくても、認知症の予防につながる本はたくさんあります。認知症予防を意識して本を選びたい方におすすめのカテゴリーを紹介します。
趣味に関する本
ご自分の趣味関係の本なら、興味を持って読むことができ、集中力も高まるでしょう。歴史が好きな方なら紀行文や歴史小説、将棋が好きな方なら棋譜や棋士による解説本など、興味を持って何度でも読めそうな本を探してみましょう。
迷路やパズルなどのゲームを楽しめる本
「認知症予防」と限定しなくても、迷路やパズルなどを楽しめる本なら、脳を活性化する効果を期待できます。徐々に難易度を上げて、難しい問題にも挑戦してみましょう。
塗り絵
最近では大人用の緻密な塗り絵も多数販売されています。一見シンプルな遊びに思われますが、下地を眺めながら何色で塗るか、どこから塗り始めるか等を考えつつ、色鉛筆で手作業を行うという作業を同時に行うことによって、広範囲で脳の活動を促します。
実際に、認知症の患者へ塗り絵をしてもらうと1ヶ月後には認知機能テストの点数が改善したという研究発表もあります。
認知症予防に関する知識を取り入れられるベストセラーを紹介
厚生労働省の調査研究によりますと、65~69歳で認知症に罹患している患者さんは2.8%ですが、70~74歳になると3.9%、75~79歳では13.6%、80~84歳では21.8%、85~89歳では41.4%と高齢になるほど発症しやすいことが示されています。認知症や認知症予防に関する知識を取り入れることは、誰にとっても、とりわけ高齢になればなるほど必要なことと言えるでしょう。
最近では認知症に関する研究も進んでいるため、知識も定期的にアップデートする必要があります。幅広い読者から支持されているベストセラーも多いので、ぜひ一度手にとって認知症に関する最新情報を学んでみてはいかがでしょうか。
脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方
「脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」では、運動することで学習能力が上がり、ストレスやうつ症状、不安、依存症などの軽減が目指せる理由を科学的に説明しています。著者はハーバード大学医学部で精神科医たちを教えるジョン J.レイティ氏で、ADHDなどの研究者としても知られています。運動を始めようか悩んでいる方、また、運動による効果を詳しく知りたい方は、ぜひご一読ください。
脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方
ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言
「ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言」は、認知症当事者としての立場と、認知症医師としての立場から平易な言葉で認知症について記されている本です。認知症について深く知りたい方、認知症患者の気持ちを知りたい方はぜひご覧ください。
ボクはやっと認知症のことがわかった 自らも認知症になった専門医が、日本人に伝えたい遺言
脳が冴える15の習慣 ―記憶・集中・思考力を高める 生活人新書
「なんとなく思考力が落ちた」「頭がすっきりとしない」と感じている方は、ぜひ「脳が冴える15の習慣 ―記憶・集中・思考力を高める 生活人新書」を読んでみてはいかがでしょうか。頭を冴えさせる15の習慣について紹介されています。いずれも今すぐ生活に取り入れることができる簡単な習慣ばかりなので、日々の生活から脳を鍛えたい方もご覧ください。
脳が冴える15の習慣 ―記憶・集中・思考力を高める 生活人新書
認知症予防のために定期的な認知機能測定
認知症を決定的な予防は未だ確立されていませんが、自身の認知機能を定期的に測定することで、認知症予防を目指すことができます。なぜ認知機能の測定が認知症予防につながるのか、認知機能はどのように測定できるのかについて解説します。
早期発見すれば進行を遅らすことが可能
認知症の中には原因が明確で治療が可能なものもあります。しかし、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの患者数が多い認知症のほとんどは、完治が難しく、一度発症すると長期にわたって治療と介護が必要です。
とはいえ、完治が見込みにくい種類の認知症でも、発症前の段階で気付くことができれば、発症を回避したり遅らせたりできることがあります。発症前の認知機能が低下してきた状態を「軽度認知障害(MCI)」と呼びますが、軽度認知障害の時点で発見し、適切な治療や介入を行うことが認知症予防の鍵を握っているといえるのです。
認知症予防に向けて本を読む習慣を身につけましょう
認知症予防に読書は有用と考えられます。お好きな作家の本はもちろんのこと、脳トレ本や認知症の知識を得られる本など、さまざまな本に触れて見ましょう。
また、予防のためには、認知機能の低下を早期察知することが有用です。認知機能は日々変化するので、ぜひ定期的に測定する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。