環境が原因で認知症になる?予防に効果的な環境改善策も解説

 

認知症の主な要因として、高齢や心疾患、脳疾患などが知られています。

 

しかし、近年の研究では認知症には環境要因も関与していることが明らかになってきました。

 

この記事では、認知症になりやすい環境の特徴や、予防に効果的な改善策について解説していきます。

 

認知症になりやすい環境についての理解を深めるとともに、健康的な生活環境の維持に努めましょう。

 

 

認知症を発症する主な要因

認知症は、加齢とともに進行する神経変性疾患であり、さまざまな要因がその発症に関与しています。

 

年齢が最も一般的な要因ですが、環境要因や生活習慣も大きな影響を与えると考えられています。

 

生物学的要因には遺伝的素因や脳の構造的変化が含まれ、アルツハイマー型認知症は脳内のアミロイドβやタウタンパク質の異常蓄積に関連しています。

 

一方、環境要因としては、喫煙、大気汚染、社会的孤立、低教育水準などがあり、認知機能の低下を促進するとされています。

 

さらに、WHOの報告によれば、運動不足、喫煙、過剰な飲酒、不健康な食事、血圧・コレステロール・血糖値の管理不良が認知症リスクを高めると言われています。

 

これらのリスク要因に対する対策を講じることで、認知症の発症リスクを低減する可能性があると言われています。

 

認知症になりやすい環境とは

認知症になりやすい環境要因として、大気汚染受動喫煙農薬低い教育水準が挙げられます。

 

これらの要因は、脳の健康に悪影響を及ぼし、認知症のリスクを増加させることが研究によって示されています。

 

以下では、具体的な環境要因について詳述し、それぞれの要因が認知症リスクに与える影響について説明していきます。

 

大気汚染

大気汚染は、認知症リスクを増加させる主要な環境要因の一つです。

 

特に、微小粒子状物質(PM2.5)や二酸化窒素(NO2)などの汚染物質が、認知機能の低下と関連しています。

 

2021年の研究では、PM2.5の濃度が増加すると、認知症の発症リスクが1.24倍に増加することが示されました。

 

また、二酸化窒素の曝露も認知症リスクを高めることが報告されています。

 

大気汚染は脳内での炎症反応を引き起こし、神経細胞の損傷を誘発する可能性があります。

 

このように、大気汚染は認知症のリスク要因として認識されているようです。

 

出典:Environmental factors and risks of cognitive impairment and dementia: A systematic review and meta-analysis

 

受動喫煙

受動喫煙とは、他人の喫煙によって生じるタバコの煙を非喫煙者が吸入することを指します。

 

受動喫煙もまた、認知症のリスクを高める要因とされています。

 

研究によれば、受動喫煙にさらされることは、認知症の発症リスクを約1.37倍に増加させるとされています。

 

タバコの煙には多くの有害物質が含まれており、これらが脳内に蓄積し、神経細胞にダメージを与えることが考えられています。

 

受動喫煙のリスクを減少させるためには、禁煙を促進し、喫煙エリアの制限を強化することが重要です。

 

出典:Environmental risk factors for dementia: a systematic review

 

農薬

農薬の曝露も認知症リスクを高める要因です。

 

農薬には神経毒性を持つ成分が含まれており、これが長期間にわたって脳に影響を与える可能性があるとされています。

 

研究では、農薬にさらされることが認知症リスクを約1.14倍に増加させることが示されています。

 

特に、農業従事者や農薬を扱う人々は、このリスクに注意を払う必要があります。

 

適切な防護具の使用や農薬の使用方法の改善が必要です。

 

出典:Environmental factors and risks of cognitive impairment and dementia: A systematic review and meta-analysis

 

低い教育水準

認知症リスクにおいて、教育水準が低いことも重要な環境要因の一つです。

 

たとえば、学術誌「Neurobiology of Aging」に掲載された2019年の研究では、高い教育水準が認知機能、特に記憶力を維持することが示されています。

 

この研究は、高い教育水準が認知予備能力を高め、脳の白質病変の影響を軽減すると結論付けています。

 

これは、教育が脳における情報処理の効率を向上させることにより、年齢に伴う脳損傷から保護する可能性があることを意味します。

 

つまり、教育は脳の「クッション」として機能し、病理的変化が進行しても認知機能の低下を抑える助けとなることが示唆されています。

 

出典:The role of education in a vascular pathway to episodic memory: brain maintenance or cognitive reserve?

 

認知症予防のための環境改善策

環境要因による認知症のリスクを減少させるためには、日常生活に取り入れられる改善策が有効です。

 

以下に、環境改善策を4つ紹介します。

 

緑の多い環境で過ごす

日常的に自然や緑の多い場所で過ごすことは、認知症予防に効果的です。

 

公園や庭園、自然保護区を散歩したり、家庭の庭に植物を植えることが推奨されます。

 

研究によれば、緑の多い環境に過ごす時間が増えることで、ストレスが軽減され、精神的な健康が向上することが示されています。

 

また、自然環境に触れることで、社会的な交流も促進され、認知機能の維持に寄与する可能性があります。

 

出典:Road proximity, air pollution, noise, green space and neurologic disease incidence: a population-based cohort study

 

室内の空気の質を改善し、受動喫煙を避ける

室内の空気の質を改善することも、認知症予防に役立ちます。

 

具体的な方法としては、定期的に換気を行い、空気清浄機を使用することや、室内での喫煙を避けることが挙げられます。

 

室内環境を清潔に保ち、空気の質を向上させることで、呼吸器系の健康にも良い影響を与えることが知られています。

 

特に、PM2.5などの微小粒子状物質の曝露を減少させることで、認知症リスクを低減できるとされています。

 

さらに、受動喫煙は認知症リスクを高めるため、タバコの煙を避けることも重要です。

 

具体的には、喫煙者がいる場所を避ける、自宅内を禁煙にする、喫煙者と同居している場合は喫煙場所を屋外に限定するなどの方法があります。

 

有害化学物質の取り込みを避ける

有害化学物質の体内への取り込みを避けることも、認知症予防のための有効な対策とされています。

 

具体的には、家庭用品や化粧品を選ぶ際に成分表示を確認し、有害な化学物質を含まない製品を選ぶこと、自宅での農薬や除草剤の使用を最小限に抑えること、有害物質を含む製品を取り扱う際には適切な防護具を使用することが挙げられます。

 

特に、農薬に関しては、使用頻度や使用方法に注意を払うことで、体内に取り込むリスクを減少させることが可能とされています。

 

有害化学物質を避けることで、認知機能への影響を最小限に抑え、全体的な健康状態の改善に繋がることができると言われています。

 

教育の質を上げる

質の高い自主教育は頭を鍛えるだけではなく、認知症予防にも重要とされています。

 

ここでは、自主的に良質な教育を得るための実践的な対策を紹介します。

 

まず、集中できる学習環境を整え、定期的な学習時間を設定しましょう。インターネットや図書館を活用して最新の情報や多様な学習資料を入手することも大切です。

 

次に、具体的な目標を設定し、学習計画を立てることで効率的に学習を進めることができます。小さな目標をクリアすることで達成感を得て、学習意欲を高めることができます。

 

また、異なる分野やテーマについて学ぶことで広範な知識を身につけ、脳の柔軟性を保つことができます。例えば、言語学習や美術など、多様な分野に挑戦してみましょう。

 

さらに、社会的な交流やグループ学習も取り入れることで理解を深め、視野を広げることができます。他者と意見交換をすることで、新しい視点を得ることができます。

 

これらの工夫を自ら進んで取り入れることで、自主教育の施策から、認知症予防に繋がる可能性があると考えられています。

 

まとめ

認知症のリスクを減少させるためには、大気汚染の改善、受動喫煙の防止、農薬の適切な使用、良質な教育など環境要因に対する対策が効果的とされています。

 

しかし、環境の改善だけでなく、運動習慣や食事管理など多角的に対策を行うことも必要です。

 

これらの取り組みを通じて、認知機能の低下を防ぎ、より健康的な老後を迎えることが可能になるでしょう。

 

認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせる可能性がある病気とされています。

 

そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。

 

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MCI段階で発見すれば進行を抑制できることも

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

 

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割程度の方は1年以内に認知症へと進行すると言われています。

 

一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。

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-認知症の原因

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