認知症予防に脳を鍛える「脳トレ」が良いと言われますが、本当に効果があるのでしょうか。
具体的にどのような脳トレをすると効果があるののかを解説し、脳トレ効果を期待できる趣味についても紹介します。
認知症を予防するために何か始めたいと考えている方は、ぜひご覧ください。
認知症予防に脳トレは効果的?
認知症予防と言えば「脳トレ」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
インターネットでも認知症を予防するための脳トレ関連情報がたくさん紹介されていますし、書店に行けば認知症予防を銘打った脳トレ本が多数販売されています。
しかし、本当に脳トレは認知症予防に効果があるのでしょうか。
現在のところ、認知症を完全に予防する方法は解明されていません。
また、認知症は一旦発症すると、正常圧水頭症や脳腫瘍などの原因が明らかで治療法があるもの以外は、完治することも難しいとされています。
とりわけ認知症の中でも患者数が多いアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は治療法が確立されておらず、発症すると完治は困難だと言われています。
しかし、認知症を発症する前であれば、脳トレによって脳を積極的に使うことで、認知症予防にもつなげることができるでしょう。
脳の機能を衰えさせないためにも、脳トレの習慣を身につけてはいかがでしょうか。
認知症の発症を遅らせる効果が期待できる脳トレ
脳の機能低下は徐々に訪れることもありますが、急激に進行することもあります。
そのため、脳の機能低下を防ぐ脳トレも、時々気が向いたときに行うのではなく、習慣的に行うことが望ましいと考えられます。
毎日無理なく続けられる脳トレをいくつか紹介するので、ぜひ日々の習慣として取り入れてみてはいかがでしょうか。
1.毎日続けられるドリル
脳の機能低下を防ぐためには、特別に難しい問題に挑戦する必要はありません。
例えば漢字や計算などの単純なドリルでも、考える習慣をつける効果があるため、脳トレとして活用することができます。
書店に行き、毎日数分でも取り組めそうなドリルを探してみましょう。
ただし、脳を鍛えることが目的なので、あまりにも簡単すぎて思考力を鍛えそうにないレベルのものは避けるほうが望ましいかもしれません。
認知症予防に期待できるドリルの効果やおすすめのドリルに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
2.空いた時間を有効活用できるトレーニングアプリ
アプリなら、外出先でもちょっとした時間に脳トレができるようになります。
スマートフォンにいくつかインストールしておけば、気分に合わせて好みのタイプの脳トレを楽しめるでしょう。
脳トレアプリは無料のものも多く、計算やパズル、漢字などの問題を自分のペースで解けるようになっています。
とはいえ、有料のアプリのほうが問題のバリエーションが豊富なので、アプリを使った脳トレが合っている方は有料アプリの導入を検討しても良いかもしれません。
アプリの種類やおすすめタイプについては、以下の記事で詳しく解説しています。
認知症予防のためのアプリはある?認知機能低下を早期に察知する方法も解説
3.自分のペースで進められるパズル
意識して指先を動かすことも、脳の活性化に効果があり、認知症予防につながると考えられています。
頭で考えて指先を動かすパズルも、認知症を予防する脳トレとして取り入れることが有用だと考えられます。
例えばピース数の多いジグソーパズルなら、自分のペースで少しずつ楽しめます。
完成したときには達成感が得られるのも、ジグソーパズルならではの利点と言えるでしょう。
また、最近人気を集めている立体パズルなら空間認識力を高める効果も期待できます。
その他にも、数ピースだけで完成するウボンゴなどのゲーム性のある種類を使えば、友人や家族とのコミュニケーションを増やすきっかけにもなるでしょう。
認知症予防におすすめのパズルについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
認知症予防にはどんなパズルがおすすめ?今からできる予防対策も紹介
4.雑学が増えるクイズ
クイズも認知症予防におすすめの脳トレです。書店でクイズの本を買って楽しんだり、インターネットで無料公開しているクイズ問題に挑戦したりしてみてはいかがでしょうか。
〇×クイズのようにシンプルなものでも良いですが、名称を答える雑学クイズも記憶力を高め、脳を刺激する効果を期待できます。
脳トレに使えるクイズの種類については、以下の記事もぜひご覧ください。
認知症予防に効果的なクイズ6選!セルフチェックで早期発見する方法まで解説
5.コミュニケーションの向上にもなるゲーム
ゲームも「頭で考えて手先を動かす」ため、認知症予防の脳トレとなります。
オセロやトランプ、ウノなどならルールもシンプルなので、楽しみながら脳のトレーニングができるでしょう。
また、テレビゲームを行うことで、記憶力向上や神経回路の再生などが見られたという海外の研究もあります。
あまり長時間行うと目が疲れてしまうというデメリットもありますが、認知症予防の新たな手段として取り入れることができるでしょう。
複数人で楽しめるゲームは、コミュニケーションを増やす手段にもなります。
認知症予防には知的活動と運動、コミュニケーションの3つが必要と言われていますので、2人以上でできるゲームを通して、知的活動とコミュニケーションの二つの側面から効率良く予防活動をしていきましょう。
その他、認知症予防に良いと言われるゲームについては、次の記事でご覧ください。
認知症予防にゲームは効果的?おすすめの種類と定期的な認知機能測定方法を紹介
脳トレにつながる趣味
脳トレといっても、特別なことを始める必要はありません。
すでに普段から親しんでいる趣味活動が脳トレになることもあるのです。
例えば読書は、言語力や想像力を刺激する脳トレです。また、将棋も推理力や思考力を刺激する脳トレで、一人で棋譜をみながら楽しむだけでなく、二人で対戦すればコミュニケーションを増やすことにもなります。
その他にも、ボランティア活動やダンス教室など、脳トレとコミュニケーション向上を兼ね備える趣味活動はたくさんありますので、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせられる病気です。
そして、早期発見には定期的に認知機能をチェックすることが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。
一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。
認知症予防に脳トレを続けましょう
認知症を予防するためにも、普段から脳を鍛える脳トレを行っていきましょう。また、ゲーム形式などの他者とのコミュニケーションも増やせる脳トレであれば、さらに認知症予防の効果も期待できます。
また、認知症に備えて認知機能を定期的に測定することも大切です。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。