「認知症予防にクイズやゲームが良いと聞いたけど、どのようなものを選べば良いのか分からない」このような悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
この記事では、認知症予防に効果が期待されているクイズに関して解説します。
また、認知症の予防のために日常的にするべきことも併せて紹介しますので、認知機能の低下の早期発見および定期的なセルフチェックを行う為の参考にしてください。
クイズは認知症予防に効果がある?
クイズや脳トレは、認知症予防に効果が期待されるレクリエーションのひとつで、実際に介護施設や高齢者施設といった認知症介護の現場でも広く活用されています。
認知症予防のためのクイズや脳トレは、楽しく解くことができ、正解すれば達成感も得られることから、手軽に脳を活性化できるレクリエーションとして高い効果が期待されています。
特に、ご家族やご友人とコミュニケーションを交えながら一緒に解くことができる脳トレのクイズは、1人で解くタイプのクイズとは異なる刺激を受けられるため、より高い効果が得られやすいと考えられています。
しかし、クイズを楽しめず解答者にストレスがかかってしまう場合は、かえってクイズや脳トレが逆効果になってしまうケースもあります。
あくまで「楽しみながらクイズを解く」ことで脳が活性化されるため、楽しく解いてもらうことが大切です。
また、クイズや脳トレの難易度を難しくし過ぎない事もポイントです。
認知症予防のために行ったクイズが難しすぎてまったく正解できなかった場合、解答者ご本人が自信を無くしてしまい、二度とクイズや脳トレはしたくないと思ってしまうかもしれません。
逆に、クイズが簡単すぎてもつまらなく感じてしまうでしょう。
そんな事態を避けるためにも、クイズや脳トレを準備する方は、解答者ご本人の年齢や認知機能の状態を見ながら、適度な難易度のクイズを出題するようにしましょう。
答えに行き詰まった時には、ヒントを出してあげるとより楽しんでクイズを解いてもらうことができます。
認知症予防に効果が期待できるクイズ・レクリエーションの例
認知症予防に効果が期待されているクイズや脳トレは、具体的には「簡単な計算、パズル、漢字の読み書き、塗り絵、指先を動かす」といった脳を活性化する問題が効果的と言われています。
今回は、その中でも特に広く使われている、以下の6つのクイズやレクリエーションの例を紹介します。
- 〇×クイズ
- 数式作りゲーム
- 都道府県当てゲーム
- 文字並び替えゲーム
- 回文作りゲーム
- 漢字当てゲーム
各クイズ・ゲームについてひとつずつ、詳しく紹介します。
○×クイズ
問題に「○か×か」で解答する○×クイズは直感的に答えることができるため、高齢者の方でも比較的参加しやすいレクリエーションのひとつです。
クイズの内容は答えやすい一般常識問題から解答者ご本人の得意分野(歴史などの知識問題)など、クイズに解答するご本人の年齢や好みに合わせて自由に変えることができます。
家族やご友人に関するクイズを出題すると、そこからコミュニケーションの幅を広げることもできます。
○×クイズを楽しむには、クイズの内容だけではなく○×クイズを解く方法も重要です。
たとえばテレビのクイズ番組のように、○×の札を上げ下げする形式や〇エリア×エリアに移動する形式にすれば、視覚的にも楽しめます。
数式作りゲーム
数式作りゲームとは、数字や記号のパネルを組み合わせて数式を作っていくゲームです。
複数のパネルの中から計算を行い、数式を組み立てさせることで、脳が活性化しやすくなると言われています。
数式の難易度としては、最初は簡単な数式から始めて、慣れてきたら少しずつ難しい数式にしていくことで、解答するご本人も達成感が得られやすく続けやすいでしょう。
都道府県当てゲーム
都道府県当てゲームとは、都道府県の形を見せるシルエットクイズや「県名に島がつく県を全て答えてください」といった県名を答えるクイズなどです。
解答者が答えに詰まった場合は「関西地方のあの県だよ!」などヒントを出してあげると盛り上がります。
他にも、ご当地ネタや方言といった解答者ご本人の地元に関するクイズを出題するのもおすすめです。
たとえば「今では使われていない昔の方言」など、若い人には難しいクイズを高齢者の方に出題してもらうのも、コミュニケーションのきっかけになります。
文字の並び替えゲーム
文字の並び替えゲームは、ホワイトボードなどにバラバラに並んだひらがなのパネルを並べ替えることで単語を完成させる脳トレのゲームです。
文字を並び替えながら正しい単語を予想することによって、認知力、記憶力、集中力、言語能力といった脳の機能の向上効果が期待できると考えられます。
並び替えをする文字数は、最初は4文字や5文字など少なめの文字数から始めましょう。
ゲームに慣れて素早く解答できるようになったら、文字数が多いものや、バラバラのひらがなの中から複数の単語を見つけるゲームなど、少しずつ難易度を上げていくと達成感を得られやすいです。
回文作りゲーム
回文作りゲームは、「しんぶんし」や「たけやぶやけた」など上から読んでも下から読んでも同じ読み方ができる回文を作るゲームです。
始めは「トマト」や「スイス」といった上から読んでも下から読んでも同じ読み方の単語を活用しながら回文を作ると、慣れていない高齢者の方でも簡単に回文を作ることができます(例:トマトと的)。
回文作りに慣れてきたら、「イカ⇔かい」や「イルカ⇔かるい」といった、ひっくり返すと異なる意味になる単語を活用して回文を作ってみましょう。(例:イルカは軽い)
漢字当てゲーム
漢字当てゲームは「案山子(かかし)」や「啄木鳥(キツツキ)」などの難読漢字の読み方を当てるクイズです。
なじみが薄く難しい難読漢字を出題するよりも、日常生活に身近な動物や食材などの漢字を出題すると盛り上がりやすいです。
また、漢字当てゲームに慣れてきたあとは、外国の国名や外来語など当て字で漢字が使われている難しいクイズを出題してみるのもおすすめです。
「加奈陀(カナダ)」や「加加阿(カカオ)」など直感で解答しやすい難読漢字を出題するのがポイントです。
認知症予防にはクイズに加えて定期的な認知機能測定も重要
認知症予防のためには、クイズや脳トレのゲームなどに取り組むだけではなく、認知機能の低下を早期に察知する事が有用だと考えられます。
ここからは、認知機能の低下の早期発見や定期的な認知機能チェックが大切な理由や、定期的に認知機能を評価できる方法を紹介します。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせられる病気です。
そして、早期発見には定期的に認知機能をチェックすることが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。
クイズだけではなく定期的な認知機能測定で認知症予防をしましょう
ここまで、認知症予防に効果が期待されるクイズや脳トレについて解説しました。認知症予防に効果が期待されているクイズには、高齢者の方でも直感的に楽しめる○×クイズから比較的難易度の高い回文作りゲームまで、様々な脳トレがあります。脳トレで脳を活性化させるためには、解答者ご本人の年齢や認知機能の状態を見ながら、楽しくクイズをする事が大切です。
認知症は、発症前に認知機能の低下を早期に察知できれば進行を遅らせることができる病気です。早期発見のためには、定期的かつ恒常的に認知機能を測定し、小さな変化に気づける環境を作っておくことが有用だと考えられます。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。