認知症,アルツハイマーのPET検査とは?費用や手順について分かりやすく解説

 

日本では、高齢化の進行により、2025年には認知症患者の数が約700万人になると予測されており、実に65歳以上の約5人に1人が認知症になるという試算がされています。

 

認知症の早期発見を目的としている検査に、『PET検査』があります。

PET検査は、様々な検査の中でも、脳内での認知症の原因物質とされているアミロイドβの蓄積の有無を画像化して、直接診ることができる検査です。

 

本記事では、PET検査はどのような検査なのか・検査費用や手順について分かりやすく解説していきます。

 

アルツハイマー病

日本の認知症患者の中で最も割合が高いのがアルツハイマー型認知症、通称アルツハイマー病です。

アルツハイマー病の原因は完全に解明されていませんが、現在は「アミロイドβ」「タウ」といった異常なタンパク質が脳内に蓄積し、それによって脳内の神経細胞が破壊され死滅することで、認知機能障害が発生すると考えられています。

 

「アミロイドβ」と「タウ」といったタンパク質は、健常な人の脳内にも発生しますが、通常は短期間で脳内で分解され排出されます。

しかし、アルツハイマー病を発症する方の脳内では、発症の10〜25年前程から脳内に「アミロイドβ」と「タウ」が蓄積し、排出されないと考えられています。

 

アルツハイマー病は、現在までにおいて明確な治療法が確立されておらず、完治することは難しいとされています。

ただし、アルツハイマー病は一部の進行を抑えることは可能であり、早期の治療・介入が重要であるとされています。

 

PET検査とは

一般的にPET検査は、ガンの早期発見を目的として用いられることが多いものとされていますが、近年ではアルツハイマー病の早期発見にも用いられるようになってきました。

 

認知症のPET検査では、微量の放射線を出すPET薬剤を体内に注射し、このPET薬剤が脳内のアミロイドβと結合します。

その後、頭部のPET/CR検査によって、脳内でアミロイドβと結合したPET薬剤をカラーリング・画像化します。

 

PET検査は、脳内のアミロイドβの蓄積を画像化し、直接診ることができるため、アルツハイマー病の早期発見につながりやすくなるとされています。

 

PET検査の手順

PET検査は一般的に以下のような手順で進められます。

 

①静脈からPET薬剤を体内に注射

②PET薬剤とアミロイドβが結合するまで60~90分程待つ

③頭部のPET/CT装置で30分程かけて全身を撮影・画像化

 

※PET検査で通常使われるFDGという薬剤は、ブドウ糖の代謝を利用しているため、検査の約6時間前から飲食を控えていただく必要があります。

 

PET薬剤は安全?

 

PET検査で使用される薬剤は、体内で微量の放射線を出すため、健康への影響を心配されている方もいらっしゃるかもしれません。

 

PET検査の被ばく量は、1回あたり胃のバリウム検査と同等もしくはそれ以下とされており、この量での放射線障害はないとされています。

また、検査後、PET薬剤は尿から徐々に体の外に排出されていくため、将来における健康被害への心配はないとされています。

 

PET検査の費用と所要時間

一般的に、アルツハイマーのPET検査は、検査費用が約30万円程度検査の所要時間は2~3時間であるとされています。

またPET検査は、予防医療の一つであるため、現在においては原則として保険適用外となっています。

*医療機関によって、検査費用と所要時間は異なりますので、事前にご確認することをおすすめします。

 

さらに、PET検査によって分かるアミロイドβの蓄積が、アルツハイマー病の確定につながるわけではないため、他の認知機能検査と併せて、総合的に診断することが重要であるとされています。

 

認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせられる可能性のある病気とされています。

 

認知症のPET検査はアルツハイマー病の早期発見に役立ちますが、自費治療により検査費用が約30万円と経済的な負担が大きいです。

そのため、PET検査と併せて、お手頃な価格で簡単に認知機能がセルフチェックできる『認知機能セルフチェッカー』がおすすめです。

 

『認知機能セルフチェッカー』で定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することによって、認知症の早期発見につなげることができます。

MCI段階で発見すれば進行を抑制できる

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。

 

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