「認知症予防にカレーが効果的と聞いたけど、実際はどうなのだろう?」という疑問を持っている方がいるのではないでしょうか。
この記事では、認知症予防にカレーが効果的であるのか、カレー以外で認知症予防に効果があるとされている食事、さらに食事以外の効果的な予防方法について紹介します。
認知機能低下を早期に察知するのに有効な方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
認知症予防にカレーは効果的?
認知症予防にカレーが効果的であると言われる理由は、カレーに使われるターメリックスパイスに「クルクミン」というポリフェノールが含まれているからだといわれています。
クルクミンは、細胞レベルでの実験、動物実験、疫学検査の3つの面から「認知症予防に効果的である」とされており、ターメリックはどのようなカレーにも含まれているため、カレーは認知症予防に効果的であると考えられています。
アルツハイマー型認知症の原因のひとつに「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質が脳内に溜まり、それがやがて脳神経細胞の破壊につながるという説が有力で、クルクミンに認められている「抗酸化作用」と「抗炎症作用」が脳内のアミロイドβを除去して溜まりにくくすることで、認知症予防に効果があるのではないかと考えられています。
カレー以外で認知症予防に効果的な食事
クルクミンを含んだカレー以外にも、認知症予防に効果的だといわれている食事があります。
代表的なものは下記の通りです。
- オメガ3脂肪酸(主にDHA・EPA)が多く含まれている魚料理
- ココナッツオイル・オリーブオイルを使った食品
- 大豆製品を使った食品
- ポリフェノールが含まれる赤ワイン
オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は全身の細胞膜の材料になるといった非常に重要な働きをしますが、体内で生成することができず、食事から摂取しなければいけません。
オメガ3脂肪酸の代表格がDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)と呼ばれるもので、イワシやサンマ、サバといった青魚やアマニ・エゴマ油などに多く含まれています。
DHAは認知症の原因物質だとされるアミロイドβの脳内での蓄積を防ぐ働きもあると考えられています。
EPAは体内の悪玉コレステロールや中性脂肪を低下させて血行を良くする働きがあり、生活習慣病の元となる動脈硬化を防ぐことで間接的に認知症予防にも繋がることになります。
青魚が苦手だったり、油を多く摂取するのが難しい場合はサプリメントで手軽に摂取するのも有効な方法の一つです。
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ココナッツオイル・オリーブオイル
オリーブオイルには、イブプロフェンに似た抗炎症作用のある「オレオカンタール」という成分が含まれており、これが脳内のアミロイドβ除去・分解を助ける役割があるとの研究報告があります。
また、認知症になると脳活動に必要な体内の「ブドウ糖」をうまく使えずに慢性的なエネルギー不足となる事で認知機能の低下をもたらすということが分かってきています。
ココナッツオイルに多く含まれる「中鎖脂肪酸」は、ブドウ糖に次ぐ第2のエネルギーとして注目される「ケトン体」を体内で効率的に作り出す役割があると分かってきており、これが結果的に脳機能の低下を抑制するのではないかといわれています。
大豆製品
納豆や味噌、豆腐などの大豆製品には、「大豆サポニン」や「大豆レシチン」という成分が多く含まれています。
大豆サポニンにはコレステロールを低下させて高血圧や動脈硬化を予防する効果が、大豆レシチンには脂質の代謝を高めて肥満や糖尿病を予防する効果があると言われており、こうした生活習慣病の予防が認知症の発症を防ぐことにも繋がります。
赤ワイン
ご存知の方も多くいるように赤ワインにも、クルクミン同様「ポリフェノール」が多く含まれているため、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβが脳内に沈着するのを防いだり、神経を保護する働きがあります。
なお、必ずしも食事でこれらの成分を摂取しなければいけないわけではなく、サプリメントや健康食品でも認知症予防を期待できるとされています。
食事以外の認知症の予防方法
ここからは、食事以外で認知症予防を期待できる4つの方法をご紹介します。
- 有酸素運動をする
- タバコやお酒を控える
- 社会的な関わりを持ちコミュニケーションを取る
- 定期的に認知機能の状態を測定する
それぞれ順番に見ていきましょう。
有酸素運動をする
1つ目は有酸素運動をすることです。WHOの認知症予防ガイドラインによると、65歳以上の成人は「週150分以上」の中強度の有酸素運動、もしくは週75分以上の高強度の有酸素運動をすることで、認知症予防の効果があるとされています。
また、有酸素運動1回あたりの時間は10分以上行うことでより効果的な予防に繋がるとされています。有酸素運動で体内に持続的に酸素を送り込むことで、脳内に行き渡る酸素の量が増え、脳が若く保たれる効果や血流の改善といった効果が期待できます。
タバコやお酒を控える
認知症を予防をするには、タバコやお酒を控えることも大切です。日本肺癌学会および日本内科学会によると、喫煙者の脳は非喫煙者の脳に比べて、5〜10年ほど脳の萎縮が早まるとされています。加えて、タバコには5,300種類の化学物質、70種類の発癌性物質が含まれているとされ、脳の細胞に悪影響を及ぼすことも分かっています。
また、飲酒に関しても、長期間続けることで栄養障害を引き起こし、アルコール性認知症を発症してしまう可能性があります。アルコール使用障害に陥っている方は、あらゆる種類の認知症を発症するリスクが3倍以上に高まることが明らかにされています。
タバコやお酒を嗜好品として楽しまれている方も多いかと思いますが、散歩・ジョギングや体操など、別の形で日常的に楽しめる行動を取り入れることが、認知症を予防するための第一歩だと考えられます。
社会的な関わりを持ち周囲とコミュニケーションを取る
社会的な関わりを持ち、周囲とコミュニケーションを取ることも大切です。日常的に誰かと会話をする中で、会話の流れや使用する言葉を常に選択することから、脳に刺激が行き渡り、認知症予防の効果が期待できます。
また、常に社会的な関わりを持つことで、様々な物事に対して意欲的に行動したい欲求も高まります。簡単なしりとり等の言葉遊びでも構いませんので、周りにいる方が積極的にコミュニケーションを取れる機会を作ることが重要です。
定期的に認知機能の状態を測る
定期的に認知機能の状態を測ることも大切です。認知機能の低下はゆっくり進行すると言われているため、気づかぬ内に認知症を発症していたという事態が起きかねません。
定期的に認知機能の状態を測ることで、日常生活では分からなかった僅かな認知機能の変化に自分自身でも気づくことができ、その結果として専門病院やクリニックでの精密な検査を促すことができれば、認知症の早期発見に繋げられる可能性も高まります。
認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要
認知症は、早期に発見して適切な治療を施すことで、その進行を遅らせられる病気です。
そして、早期発見には定期的に認知機能をチェックすることが重要になります。
MCI段階で発見すれば進行を抑制できる
認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。
物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。
しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割の方は1年以内に認知症を発症すると言われています。一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。
つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。
日頃から健康的な食事や認知機能測定で認知症予防に繋げましょう
認知症予防に効果的な食事や、食事以外の予防方法について解説してきました。日頃から健康的な食生活を心がけ、タバコやお酒など、健康を害してしまう生活習慣をなくすことが有用であると考えられます。
また、認知症は、発症前に早期に発見して適切な治療を行うことでその進行を抑制あるいは健常な認知機能まで回復することもできる病気です。そのため、僅かな認知機能の変化に気付けるように、日頃から認知機能を測定することも有用だとされています。
※本記事で記載されている認知症に関する内容は、専門家によって見解が異なることがあります。