【知っておきたい】アルツハイマー型認知症の予防法について徹底解説

 

日本において約460万人が抱えているとされている認知症は、私たちの社会における重大な課題とされている疾患です。

 

その中でも、最も一般的な種類であるアルツハイマー型認知症は、本人だけでなく家族や友人の生活にも大きな影響を及ぼします。進行性のこの病気に対する治療法は現在のところ存在しないため、予防法が重要視されています。

 

本記事では、アルツハイマー型認知症の予防法について詳しく解説します。健康的な生活の維持がどのように病気のリスクを減少させるのか、具体的な方法を5つの項目に分けて紹介します。

 

自分自身や大切な人のために、ぜひこの記事を参考にして、アルツハイマー型認知症の予防に取り組んでください。

 

出典:Alzheimer's Association「日本におけるアルツハイマー病と認知症」

 

 

アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も一般的な種類であり、脳の細胞が段階的に破壊されることで記憶や認知機能が徐々に低下する進行性の病気です。

 

この病気は、通常65歳以上の高齢者に発症しますが、稀に若年性アルツハイマー型認知症として、若い年齢層でも発症することがあるとされています。

 

アルツハイマー型認知症の主な特徴は、次第に進行する記憶障害と認知機能の低下です。

 

初期段階では、最近学習した情報を忘れやすくなることが多く、日常生活に支障をきたすほどではありません。しかし、時間が経つにつれて症状が悪化し、日常的なタスクの遂行が難しくなります。

 

アルツハイマー型認知症の症状

アルツハイマー型認知症の主な症状は以下の通りです。症状の出現は個人差があるとされています。

 

・記憶障害(例:最近学習した情報を忘れる、重要な日付や約束を忘れる)

 

・問題解決能力の低下(例:計画を立てたり、問題を解決したりする能力が低下する)

 

・日常のタスク遂行の困難(例:日常的な活動や作業の手順を忘れる)

 

・混乱や時間と場所の認識の欠如(例:日時や季節、場所を混同する)

 

・視覚と空間認識の問題(例:視覚的なイメージの理解が難しくなる)

 

・言語の問題(例:会話や書き言葉の理解や表現が難しくなる)

 

・物をなくす(例:物を置き忘れたり、失くした物を見つけられない)

 

・判断力の低下(例:判断力や意思決定の能力が低下する)

 

・社会的な活動の減少(例:仕事や趣味、社交活動への関心が薄れる)

 

・気分や性格の変化(例:気分が変わりやすくなり、混乱、疑い深さ、不安、抑うつなどが現れる)

 

アルツハイマー型認知症の原因

アルツハイマー型認知症の正確な原因は完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

 

まず、遺伝的要因がアルツハイマー型認知症の発症に大きな役割を果たすとされています。特定の遺伝子変異がアルツハイマー型認知症のリスクを高めることがわかっており、特にAPOE-e4遺伝子がこの病気と密接に関連しているといわれています。この遺伝子を持つ人々は、アルツハイマー型認知症を発症する可能性が高くなるとされています。

 

環境因子や生活習慣もアルツハイマー型認知症のリスクに影響を与える重要な要素です。喫煙や高血圧、糖尿病、肥満などの心血管疾患は、脳への血流を妨げることがあり、これが認知機能の低下を引き起こす可能性があるとされています。さらに、運動不足や不健康な食事もリスクを高める要因とされています。

 

また、加齢も主要なリスク要因の一つです。アルツハイマー型認知症は特に高齢者に多く見られる病気であり、年齢が上がるにつれて発症リスクも増加すると考えられています。

 

これらの要因が複合的に作用し、アルツハイマー型認知症の発症リスクを高めると考えられています。遺伝的要因、環境因子、加齢が相互に影響し合うことで、脳の健康に影響を与え、アルツハイマー型認知症の発症に繋がるといわれています。このため、リスク要因を理解し、早期から適切な対策を講じることが、アルツハイマー型認知症の予防において重要です。

 

アルツハイマー型認知症の治療法

現在、アルツハイマー型認知症の進行を止める治療法はありませんが、症状を緩和し、生活の質を向上させるための治療法がいくつかあります。

 

・薬物療法(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、レケンビなど)

・認知機能のリハビリテーション(パズルや脳トレゲーム、社会的交流など)

・生活習慣の改善(健康的な食事、定期的な運動、適切な睡眠、ストレス管理)

 

アルツハイマー型認知症の基本情報についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

 

アルツハイマー型認知症とは?初期症状や平均寿命、治療法を解説!

アルツハイマー型認知症は進行段階と進行速度を解説。アルツハイマー型認知症の原因は?

 

アルツハイマー型認知症は予防できるのか

アルツハイマー型認知症を完全に予防する方法や薬は現時点で確立されていませんが、研究によっていくつかの有望な予防策が示されています。

 

多くの専門家は、健康的な生活習慣と生活習慣病の管理がアルツハイマー病のリスクを減少させる可能性があると考えています。

 

次のセクションでは、具体的な予防法を5つの項目に分類して詳しく解説していきます。

 

アルツハイマー型認知症の予防法① 健康的な食事習慣

健康的な食事習慣は、アルツハイマー型認知症の予防において重要な役割を果たします。

 

研究によると、地中海式食事法やDASHダイエットなど、バランスの取れた食事は、脳への血流を改善し、抗酸化物質を多く含む食品は脳細胞の損傷を防求効果があるとされています。これにより、認知機能の低下リスクを低減させることができる可能性があると言われています。

 

具体的に、アルツハイマー型認知症の予防に効果的な食事を以下にまとめました。

 

野菜と果物を豊富に摂る

オリーブオイルを使用する

脂質が高い魚(鯖や鮭など)を定期的に食べる

ナッツと種子類を摂取する

赤身肉を控える

加工食品を避ける

緑茶やほうじ茶を飲む

低脂肪乳製品を選ぶ

塩分を控える

甘いものを控える

健康的な食事習慣は、アルツハイマー型認知症のリスクを減少させるだけでなく、全体的な健康にも良い影響を与えます。できるだけ脳に良い食べ物を体内に取り入れることを心がけましょう。

 

アルツハイマー型認知症の予防法② 定期的な運動

定期的な運動は、脳の健康を維持し、アルツハイマー型認知症のリスクを減少させるための重要な要素です。

 

運動は脳への血流を増加させ、酸素と栄養を供給し、認知機能の維持にも効果的とされています。また、運動はストレスを軽減し、全体的な身体の健康を向上させます。以下の運動リストを参考にし、自分に合った運動を毎週実践してみてはいかがでしょうか。

 

ウォーキング

ジョギング

水泳

ヨガ

サイクリング

ダンス

筋力トレーニング

ストレッチ

ピラティス

定期的な運動は、認知機能を維持し、アルツハイマー型認知症の予防に役立つだけではなく、総合的な健康を維持し、病気にかかりにくい丈夫な身体をつくります。

 

アルツハイマー型認知症の予防法③ 脳のトレーニング

脳のトレーニングも、脳の機能を維持し、認知機能の低下リスク低減するのに効果的である可能性があるとされています。

脳を活性化する活動は、神経細胞に刺激を与え、認知機能を高めると言われています。脳のトレーニングは幅広い種類があるため、続けやすいトレーニングを選ぶことを推奨します。

 

脳のトレーニングには以下のようなものがあります。

 

パズル

数独

メモリゲーム

読書

なぞなぞ

楽器の演奏

新しい言語の学習

コンピュータゲーム

数学(そろばん、暗算)

 

認知・脳トレーニングは、日常的に取り組むことで脳の健康を維持し、アルツハイマー型認知症のリスクを低減する効果がある可能性があるとされています。

 

アルツハイマー型認知症の予防法④ 社会的活動

社会的活動への参加も、認知機能を維持し、アルツハイマー型認知症のリスクを減少させるための重要な要素とされています。

 

人との交流は脳を刺激し、ストレスを軽減する効果があるとされています。また、社会的つながりは精神的な健康をサポートし、孤独感を防ぐことに繋がるとされているため、アルツハイマー型認知症の予防に効果的だと考えられています。社会的活動には以下のようなものがあります。

 

友人との定期的な交流

家族や親戚との時間

ボランティア活動

コミュニティイベントに参加

趣味のクラブに参加

スポーツチームに参加

コミュニティセンターでの活動

X、インスタグラム、ラインなどのSNSを利用

オンラインフォーラムでの交流

 

社会的活動は、認知機能を維持し、精神的な健康をサポートする一つの手段です。アルツハイマー型認知症を予防するために、定期的に社会との繋がりを保つ活動を行うことをおすすめします。

 

アルツハイマー型認知症の予防法⑤ 持病・生活習慣病の管理

持病や生活習慣病の管理は、アルツハイマー型認知症の発症要因となる病気を軽減する効果があるため、アルツハイマー型認知症のリスクを下げる効果があるとされています。

 

高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症などの持病を管理することで、脳の健康を維持し、認知症のリスクを減少させることができるとされています。持病の管理には以下の方法が推奨されています。

 

定期的な健康診断

血圧の管理

血糖値の管理

コレステロール値の管理

適切な体重維持

薬の摂取

禁煙

アルコールの摂取制限

バランスの取れた食事

ストレス管理

定期的な運動

 

持病や生活習慣病の管理は、全体的な健康を維持し、アルツハイマー型認知症のリスクを減少させる重要な手段です。以上の項目を念頭に入れ、生活習慣病を管理することに努めましょう。

 

アルツハイマー型認知症を予防するために周囲の人がすべきこと

アルツハイマー型認知症の予防には、本人だけでなく周囲の人々のサポートも重要です。家族や友人、介護者が本人を助けることで、その人の生活の質を向上させるだけでなく、予防効果を高めることができます。ここでは、周囲の人が具体的に行うべきサポート方法を紹介します。

 

まず、アルツハイマー型認知症の予防には周囲の方への情報提供が重要であるとされています。家族や友人は、アルツハイマー型認知症に関する正しい知識を持ち、予防策について学ぶことで、早期発見や適切な対策を講じることができます。また、定期的な医療チェックアップを奨励し、健康診断や血圧、血糖値の管理をサポートすることが必要です。

 

次に、社会的つながりを維持するための支援が挙げられます。患者が孤立しないよう、定期的に連絡を取り合い、一緒に過ごす時間を増やすことが大切です。趣味やコミュニティ活動に参加することを促し、社会的なネットワークを広げる手助けをすることが、精神的な健康を維持し、認知機能の低下を防ぐ助けになるとされています。

 

さらに、健康的な生活習慣のサポートも欠かせません。バランスの取れた食事や定期的な運動を促し、一緒に健康的な食事を作ったり、散歩や運動を楽しむことで、日常生活に健康的な習慣を取り入れることができます。特に、地中海式食事法やDASHダイエットは効果が期待されているため、これらの食事法を取り入れるよう奨励しましょう。

 

また、精神的な支えも重要です。ストレス管理やリラクゼーションの方法を教え、心の健康をサポートすることで、全体的な健康を維持することができます。認知トレーニングや脳トレゲーム、パズルなどを一緒に楽しむことで、脳の活性化を図ることも効果的です。

 

アルツハイマー型認知症は早期発見と定期的なセルフチェックが重要

アルツハイマー型認知症は、早期に発見して適切な介入・治療を施すことで、その進行を遅らせる可能性がある病気とされています。

 

そして、早期発見には定期的に自身の認知機能の状態変化を把握することが重要になります。

 

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MCI段階で発見すれば進行を抑制できることも

認知症の一歩前の段階にMCI(軽度認知障害)という状態があります。

 

物忘れなど認知症に見られる症状が出ているものの、その程度は軽く周囲に影響を及ぼすほどではない状態です。

 

しかし、軽度とはいえMCIを放置すると、その中の約1割程度の方は1年以内に認知症へと進行すると言われています。

 

一方で、もしMCI段階で適切な治療を施すことができれば、健常な認知機能まで回復する可能性が14〜44%もあるとされています。

 

つまり、認知症を深刻化させないためには、少しの認知機能の変化に気づき、適切に対応することが有用であると考えられます。

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-アルツハイマー型認知症, 認知症を予防する

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